インタビュー
映画が好きです。

Vol.26 金子修介さん(映画監督)

深作欣二監督の『仁義なき戦い』に衝撃を受けて、今、ここにいます。

 カリスマ・コミック『デスノート』を前・後編で実写映画化し、大ヒットに導いたことで知られる金子修介監督。最新作『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』がいよいよ4月29日に公開されます! "スキャニング"という特殊能力で人の思念を読みとることができる仙石(野村萬斎)とその相棒(宮迫博之)が挑むドキドキハラハラの謎解きミステリーである本作の魅力、そして監督の好きな映画についてもお伺いしてきました!


──野村萬斎さんの、本作での最大の魅力とは?

 野村さん本人には、昭和までの時代の役の経験はあるけど、平成の男は初めてなのでもし違和感があったら教えてくださいと言われていました。自分は時代劇の人で今の現代にはいない人だと、本人もそう思っているようで、謙虚な姿勢で現場入りしてくれました。
また、萬斎さんが演じた仙石は本来、暗い人物なんですけど、萬斎さんはネアカ。なので、ネットで「根暗」を検索したりと、いろいろ調べてくれて(笑)。そんな萬斎さんの明るい根暗話から現場は始まりましたね。萬斎さんが来ると現場がパァっと明るくなるのでいつも楽しかったですね。背筋が伸びていて、声が通る。そんな萬斎さんらしさを、いかに仙石というキャラクターに合わせるか。バランスを見ながら演出しました。

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野村萬斎さんが演じる、ご自身とは正反対の"人間嫌いの超ネガティブ男"、見ものです!


──エンタメ、ミステリー、人間ドラマと様々な顔を持った作品ですが、作るうえで一番意識した点とは?

 やっぱりお金を払って観てもらうので「よかった!」と思われないといけないというか。泣いたり笑ったりドキドキしたりはもちろん、最後には何らかのモノを持ち帰ってもらいたいという気持ちはあります。まさにエンタメからミステリー、だけど最後は人間ドラマになっていくという風に感じていただければ有り難いです。いろんなきっかけがあって本作を観に来てくれて、それぞれの期待の要求に応えつつ、最終的には楽しんで観てもらえれば最高です。でも映画を作るうえでそれが一番難しいと思います。


──Bookstand映画部!は一人で映画を楽しむ人のためのサイトですが、監督ならではの「一人映画」の楽しみ方があれば教えていただければ幸いです。

 僕はほとんど一人で映画館で見ます。去年は200本くらい見たかな。新宿や日比谷、渋谷でグルグルまわってるけど、そろそろカメラ男やめてほしいなって思いますね(笑)。上映の合間に流れる映像も、もうちょっと頻繁に変えてほしいなって思う。またこのシリーズやってるよ!って(笑)。


──監督の個人的に好きな映画を教えてください。

 深作欣二監督の『仁義なき戦い』です。高校のときに観て衝撃を受けて、今ここにおります。もちろん黒澤明監督も好きですけど。深作監督はお兄さん、黒澤監督はお父さんといった感じです。年齢はもうちょっと上ですけど(笑)。アメリカでは、ピーター・ウィアー。スピルバーグも好きですよ。最近は『キャロル』を観て感動しました。ニコール・キッドマンが好きだったんですが、ケイト・ブランシェットに心が移ってしまいました。すみません、ニコール様(笑)。


──最後に、映画を楽しみにしている読者の方々へ、メッセージをお願いします!

 最近は少なくなったオリジナルのストーリーの映画です。映画のために生み出したストーリーを、映画館で一緒に楽しんでいただけたら......もし、つまんなかったら僕の責任です(笑)。でも、面白いと思ってもらえたら、俳優の皆さんに拍手してください! 結末は内緒でお願いします(笑)!!

──金子修介監督、ありがとうございました!

(文/トキエス)

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『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』
4月29日(金)より公開!

監督:金子修介
出演:野村萬斎、宮迫博之、安田章大、杉咲花、木村文乃 ほか
配給:東映
2016/日本映画/109分

公式サイト:http://www.scanner-movie.jp
©2016 『スキャナー』製作委員会

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金子修介(かねこ・しゅうすけ)

1955年6月8日生まれ、東京都出身。78年日活に入社。『宇能鴻一郎の濡れて打つ』(84)で監督デビューし同年に、第6回ヨコハマ映画祭新人監督賞を受賞。『ガメラ 大怪獣空中決戦』(95)で第38回ブルーリボン賞監督賞を受賞。主な作品に『毎日が夏休み』(94)、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』(01)、『デスノート』前・後編(06)、『プライド』(09)、『ばかもの』(10)、『百年の時計』(12)、TVドラマ「おそろし~三島屋変調百物語」(14/NHK BSプレミアム)、『少女は異世界で戦った』(14)等。

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