悩みの多い20代後半をどう生きる? さまざまな分野で活躍する女性25人が語る体験談

わたしたちが27歳だったころ 悩んで、迷って、「わたし」になった25人からのエール
『わたしたちが27歳だったころ 悩んで、迷って、「わたし」になった25人からのエール』
with編集部
講談社
1,540円(税込)
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  人生という長い旅路の中で、なにかと迷うことが多い時期が20代後半。書籍『わたしたちが27歳だったころ 悩んで、迷って、「わたし」になった25人からのエール』は、俳優や脚本家、漫画家、政治家などさまざまな分野で活躍する女性25人に、27歳のころ何に悩み、今何を思うのかについて訊いた一冊です。同書を読むと、キラキラと輝いて見える彼女たちも悩みや葛藤を抱え、そうした時期を経たことで今の生き方に通じていることがわかります。

 たとえば、仕事は安定していたものの、仕事でもプライベートでも「ノー」が言えずにモヤモヤを抱えていたと話すのは、タレントの優香さん。30歳になったころ身体に異変が起き、「自分のことは自分で守るしかないってことに、初めて気づいた」そうです。出産して子どもができた今は、今後のことはゆっくりと考えながら仕事と家庭を両立させていきたいと言います。

「20代は『ここしかないのかな』と思っていたけど、その思い込みが、自分を追い込んでいたんだなって今はわかる」(同書より)

 出産は人生のなかで大きな出来事のひとつです。アーティストの倖田來未さんも、「結婚し、子供が生まれたことも頑張れる大きな要因」(同書より)と、家族の存在が自身のパフォーマンスを上げるモチベーションになっていると話します。

 いっぽうで、今は多様な生き方が選べる時代です。『逃げるは恥だが役に立つ』で知られる漫画家の海野つなみさんからは、「私個人的には、いつか子供を産みたければ若いうちに卵子を凍結しておくとか、欲しいかどうかわからないなら、今楽しいことに邁進してもいいなって思うんです」(同書より)といった言葉も。結婚も出産も子育ても当たり前なことではなく、いろいろな選択肢や価値観があることがわかると、視野が広がるかもしれません。

 仕事で思い悩む人も多い年齢です。「仕事を任されても、任されなくても、どっちにしても苦しいのが20代」と言うのは、フジテレビアナウンサーの佐々木恭子さん。自身を振り返り、「なんだかんだで愚直にやってきたことが、後から振り返ると実を結ぶのかもしれません」(同書より)とエールを送ります。

 宇宙飛行士の向井千秋さんの「今のうちにいろんなことに挑戦しておくべきでは? 私のように、30歳を過ぎてから宇宙飛行士を目指すのも面白いですよ」(同書より)との言葉には、まだまださまざまな可能性が開けていることを感じさせられます。

 他にも、俳優の大竹しのぶさんや夏木マリさん、劇作家の本谷有希子さん、衆議院議員の野田聖子さんなどの経験談を収録している同書。彼女たちの率直な語り口から生きる希望とヒントをもらえるはずです。

[文・鷺ノ宮やよい]

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