ラグジュアリーブランドが提案する「食」の新しい楽しみ方

シャネルの戦略 ―究極のラグジュアリーブランドに見る技術経営
『シャネルの戦略 ―究極のラグジュアリーブランドに見る技術経営』
長沢 伸也
東洋経済新報社
2,376円(税込)
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 最近、高級車ブランドが運営するカフェやレストランが続々登場しています。たとえば、高級車の代名詞ともいえるメルセデス・ベンツは、2011年に東京・六本木の東京ミッドタウン前にコンセプトショップ「メルセデス・ベンツ コネクション」をオープン。1階にカフェ、2階部分にはミシュラン2つ星レストラン「Restaurant Ryuzu(リューズ)」を併設するなど、高級車ブランドの新しい試みとして注目を集めています。また、同じドイツの高級車アウディも今年2月、東京・原宿のショールーム2階部分をカフェスペースにリニューアルし、"感度の高いユーザー"から高い評価を得ています。

 実はラグジュアリーブランドの「食」分野への進出は高級車に限ったことではありません。ブルガリ、アルマーニ、グッチ、エルメスとお馴染のファッションブランドが東京・銀座や青山、表参道などにカフェを展開しているのです。

 中でも草分け的存在となったのは、シャネルが04年に銀座にオープンしたフレンチレストラン「ベージュ アラン・デュカス 東京」。料理を担当するのはフランス料理界の巨匠として知られるアラン・デュカス氏。さらに、シャネルのコードカラーであるベージュを基調にした店内のインテリアは、世界中のシャネルブティックを設計するピーター・マリノ氏が手掛けており、シャネルの世界観にどっぷりと浸りながら極上のフレンチ料理を楽しめるエレガントなお店となっています。

 シャネルのブランド戦略を研究し、その全貌に迫った書籍『シャネルの戦略―究極のラグジュアリーブランドに見る技術経営』。著者である早稲田大学商学部長沢伸也教授は同店を「『最適なシャネル入門』空間とサービスになっている」と評しています。シャネル入門に最適とは、いったいどんな空間とサービスなのでしょう? シャネル好きでなくても、ちょっと気になります。

 さて、続々と食の分野へと進出するラグジュアリーブランドですが、新たな形でのアプローチを仕掛けているのが、日本の高級車ブランド・レクサスです。

 昨年、青山にカフェとレストランを併設したコンセプトショップをオープンしたのを皮切りに、最近では、5月31日~6月1日の二日間、大分県竹田市で開催された屋外ディナーイベント「DINING OUT TAKETA with LEXUS」を開催。わざわざ銀座のミシュラン2つ星レストラン「ESqUISSE(エスキス)」のシェフ、リオネル・ベカ氏を招き、現地の食材を生かしたフルコースを参加者に振る舞うという、ラグジュアリーブランドが提供するにふさわしい、贅を尽くしたオトナのためのディナータイムを演出しました。

 ラグジュアリーブランドにとって「食」という分野への進出は、消費者がブランドの世界観を包括的に体験できる絶好のチャンス。次はいったいどのような角度から、私たちに新たなラグジュアリーの形を提案してくれるのか、非常に楽しみです。

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