元日本代表監督の岡田氏、W杯準決勝の相手を妄想していた

勝負哲学
『勝負哲学』
岡田 武史,羽生 善治
サンマーク出版
1,620円(税込)
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 タジキスタンに勝利し、2試合を残してW杯3次予選の突破を決めたザックジャパン。本日行われる北朝鮮戦では、来たる最終予選に向け、新フォーメーションの3-4-3や、新戦力のチェックなどが行われると予想されます。今の日本代表に必要なピースは何なのか、ザッケローニ監督の采配によって、明確に表れるのではないでしょうか。万全な状態でW杯出場を決め、前回大会以上の結果を残してほしいものです。

 前回大会といえば、岡田監督がベスト4を目標にすると公言し、ちょっとした物議をかもしました。そんな岡田氏は、棋士の羽生善治氏と勝負について語りあった書籍『勝負哲学』のなかで、当時の裏話を披露しています。

 岡田氏の頭のなかには、ベスト4までの筋書きがきちんとできており、準決勝の相手はドイツだったそう。妄想のなかでは、0-1で負けており、タイムアップ寸前に同点に追いつき延長戦に。そこで相手の守備陣がペナルティエリア内で反則を犯すが、審判は日本にPKをとってくれない。反対に、日本はまったく反則をしていないのに、ドイツにPKをあたえる。岡田氏が猛抗議すると、審判がドイツ語で「おまえらは勝たせない」とうそぶくのです。多少ドイツ語が話せる岡田氏は、向こうの汚い言葉を使い罵り、その結果、退場になってしまうそうです。

 これが現実になったとすれば、日本中がその審判に抗議し、その後のPKのシーンに食い入っていたかもしれません。岡田氏は、時折こういった妄想を膨らませては、試合の準備をするそうです。ベスト4はかないませんでしたが、妄想通りに試合が進むこともしばしばあると言います。

 2010年W杯の初戦、カメルーン戦の妄想です。終盤、リードを守る日本代表。相手は高さを中心にパワープレーを仕かけてきます。その場合、高さで対抗できる日本人は少ない。選手の交代が必要になりますが、勝っている時にディフェンスを代えるとリズムを崩してしまうので、背の高いFWで、なおかつ相手を追い回せて守備も強く、カウンター攻撃もできる選手が必要だと考えたそうです。そこで投入されたのがFW矢野。

 このような事前の妄想があり、W杯メンバーに矢野を入れたそうです。メンバー発表時にはサプライズとも言われた矢野の選出でしたが、その背景には岡田氏の妄想があったからこそ。

 いま、ザッケローニ監督の頭のなかでも様々な選手が活躍していることでしょう。そのなかには、私たちが驚くような意外な選手がいても、おかしくはありません。

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