連載
続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!

第2回 『トゥモローランド』ブラッド・バード監督インタビュー

映画『トゥモローランド』のブラッド・バード監督を直撃!!(文・写真/鴇田崇)

新連載! 「続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!」の2回目は、あのウォルト・ディズニー最大の謎にして最高のプロジェクトというコピーが踊る、映画『トゥモローランド』のブラッド・バード監督を直撃! バード監督は『アイアン・ジャイアント』(99)、『Mr.インクレディブル』(04)など野郎の再生劇が上手な名匠で、はたして今回のジョージ・クルーニーはいかに!? 気になる『Mr.インクレディブル』続編についても質問しちゃった!

――「イッツ・ア・スモールワールド」があるアナハイムの「ディズニーランド・パーク」でのロケがありました。パークでの撮影は、大変そうですね?
  
いや、1日か2日、撮影のためにアトラクションを貸し切って撮影しただけで終わったよ。これって同じ会社、要するにディズニーだから実現したことだと思うよ(笑)。違う会社だったら、そうとう難しいだろうね。面白いことに、あの「イッツ・ア・スモールワールド」は、1964年にニューヨーク万国博覧会に出展されたモノとまったく同じモノで、万博が終わった後にディズニーランドに移設、定住の地になったわけだ。だから施設の裏に回ると、ニューヨークから来たことを証明する出荷シールが貼ってあるよ(笑)。

――なによりも、その後の"トゥモローランド"描写のわくわくドキドキ感がマジ、ハンパなかったっすね! どういうコンセプトで、イマジネーションを映像化したのですか?
  
それは、いろいろな人たちが助けてくれてね(笑)。あの状況はね、訪れた場所があまりにもすばらしすぎるので、主人公のケイシーはすべてを吸収しきれず、採りこめずにいるわけだね。例のピンバッジの反対側を見ればカウントダウンが始まっていて、そこで彼女がパニックになる焦燥感も描いてみたかった。それはつまり、自分がいい夢を見ている時に目覚めそうになって、でもまだ夢を見ていたいという感覚に近いかな。

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――ところで、トゥモローランドの謎を知るフランク役のジョージ・クルーニーが意外な役柄でしたが、これが意外にハマッていましたよ! そもそもなぜクルーニーを?
  
もともと脚本を書いている段階で、このフランクという人物を説明する際に、なんとなくジョージ・クルーニーっぽい人、と念頭においてキャラクターを描いていてね(笑)。そして実際にキャスティングをする段になって、だったら1回、ダメ元でもジョージに聞いてみようということになった。最悪の場合でもノーと言われるだけだからね(笑)。で、彼の家に行くと、親切にもドライブウェイまで出迎えてくれてね。普段はこういう作品には出ないけれども、自分はオープンなので話だけは聞くと。それで関心を示してくれたわけだ。

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――しかし、最近の『アナと雪の女王』(13)などを観ていると、男は不要! みたいな話なので切なくなりますが(笑)、監督の『Mr.インクレディブル』(04)も今回の映画も男が主人公で、そういうディズニー映画がもっと出てくればいいなあと!
  
(笑)! 『Mr.インクレディブル』みたいな主人公でもいいのかい? また、作るよ。しかし、そうだな。アタマのかたい男性の我々は、よくわかっていないことが多いので、確かに一致団結しないとだめだろうね(笑)。

――最後に次回作について教えてくれますか? この流れでは、アレでしょうけれど(笑)。
  
そうだよ(笑)。いまは『Mr.インクレディブル』の続編を書いている最中で、また砂場で遊ぶチャンスをもらっているところだよ(笑)。詳細だって? そこはサプライズであって、僕の口からは言えないよ。皆さんよく質問するけれども、そもそも何も聞けないことを予想していただろう? 話してしまったら、サプライズじゃなくなるしね。

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――もう、待てなすぎますね! Mr.インクレディブルに早く会いたい!
  
今度は何が違うかと言うと、前作から10年経っていて、あれから1,000万本くらいスーパーヒーローものは出ているだろう(笑)。このジャンルをフットボール場に例えると、フィールドが枯渇している状態だ。だから水をやらなくちゃいけないよね。だから、その内容は思いがけないものになっているはず。楽しみにしていてほしいね。僕自身も楽しみだよ!

<STORY ※公式サイト引用>

ケイシー・ニュートン、17歳。ある日、彼女の持ち物に見慣れぬピンバッジが紛れ込む。それは、彼女が夢見た世界へのチケットだった。ピンバッジに触れると、ケイシーはたちまちにしてテクノロジーの発達した未知なる世界に......。果たして、ここは未来なのか?だが、バッテリー切れと同時に、ケイシーは見慣れた世界へと引き戻されていた。
 必死で夢の世界へと戻ろうとするケイシーの前に現れたのは、ピンバッジを彼女の荷物に紛れ込ませたと言う、謎の少女アテナだった。その世界の名は"トゥモローランド"。再び訪れたいのならば、フランク・ウォーカーという男を訪ねるようにとアテナは誘う。アテナが人類の未来を託したふたりの人間、それこそがケイシーとフランクだった――だがそれは、壮大な冒険の始まりに過ぎなかった。


映画『トゥモローランド』は、大ヒット上映中!
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
公式サイト:http://www.disney.co.jp/movie/tomorrowland
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鴇田崇(ときた・たかし)

1974年生。国内最大級のアクセスを誇る総合映画情報サイト「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在はフリー。年間延べ250人ほどの来日ゲスト、俳優、監督への取材を行い、雑談のような語り口で相手のホンネを引き出すスタイルは、一部の関係者に定評がある。史上もっともアガッたインタビューは、あのM・ナイト・シャマラン監督に「キミの体からは気が出ている!」とホメられたこと。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。

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