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プロレス×映画

『ヘアスプレー』にみる「踊れるデブは絵になる法則」はプロレスでも有効です

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ジョン・トラヴォルタ,ミシェル・ファイファー,ニッキー・ブロンスキー,クリストファー・ウォーケン,クイーン・ラティファ,ザック・エフロン,アマンダ・バインズ,ジェームズ・マースデン,ブリタニー・スノウ,アダム・シャンクマン
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 ダンサーといえば細身の人物像をイメージするところで、それと異なる人物が踊れば「売り」になるのは、映画もプロレスも同じ。てことで、今回のお題は「おデブ」な主人公が歌って踊るミュージカル映画『ヘアスプレー』(2007)。1988年のオリジナル映画を元にしたミュージカルをさらに映像化したのが本作。

 1962年のボルチモア。おデブなトレーシーは、歌とダンスでスターになる夢を抱き、地元TV局のダンス番組(スポンサーがヘアスプレー製造会社)のオーディションに挑戦。性悪女性プロデューサーに体型を理由に落とされるも、番組のスターであるリンクに誘われたダンスイベントで、黒人の友人に習ったステップを披露し、トントン拍子でデビューに成功。
 しかし、人気者となりリンクとの仲も急接近していく中、番組内の月イチ黒人コーナー打ち切り問題が発生。差別廃止を訴えるトレイシーはまさかの事態に陥るも・・・的ドタバタ劇です。

 トレーシーは自らの体型も気にしないポジティブデブで、憧れの彼に一瞬触れただけでジュンジュワーとなるスイーツ脳ですが、得意の歌とダンスは見事なモノ。トレーシー役のニッキー・ブロンスキーが、典型的アメリカンデブとあって、そのインパクトは本作の売りのひとつになっています。

 そしてプロレス界で"踊れるデブ"革命を起こしたのが「リキシ」でした。
 名門一族出身ながら、WWE(当時WWF)デビュー以来数年間低迷も、1999年に従兄弟で元WWE王者「ヨコズナ」の相撲ギミックを継承する形で「リキシ」に転身。同時に「Too Cool」というコンビとトリオを組みます。
 この「Too Cool」はヒップホップダンスが売りで、当初はリキシ本人からダンスに加わらず、催促されて踊ってみれば見事なダンス(構成としては主にロボットダンス)をキメるという流れ。このインパクトでダンスパートは彼が主役になります。

 本作はミュージカル映画なのでそういう雰囲気になるとミュージカルモードに入りますが、リキシの場合、仲間に手渡されたサングラスを装着して(後年はMJよろしくフェドーラ帽)ポーズをキメるや場内が暗転し、ダンスモードに突入するというのが定番。

 この"踊れるデブ"の前例もあって、近年のWWEではぽっちゃり系のブローダス・クレイが女性バックダンサーと共にファンクミュージックで踊り狂うギミックでプチヒット。そこに怪奇派ギミックで頭打ちだったテンサイ(彼も太め)が相棒として加わり、巨体ダンスギミックユニット「トンズ・オブ・ファンク」として活躍中です。

 巨体といえば、トレーシーを1.5倍にしたトドみたいな母親をジョン・トラボルタが演じていますが、特殊メイクのおかげで驚異の顔面センター振りに加え、その巨体で歌って踊るシーンは、もう何だか見てはいけないものを見ている変な気分を味わえます。

 また、オリジナル版由来の人種差別問題や封建的な価値観への挑戦といったテーマを内包する本作ですが、全体的にスーパーポジティブなオブラートによって超絶リア充映画に仕上がっています。故に「元気になれる映画」として女性に人気だそうですが、筆者のようなオッサンの場合、鑑賞後、ふと冷静になってむしろ悲しい気持ちになりましたけどね! 二度と観ないよ!

(文/シングウヤスアキ)

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シングウヤスアキ

会長本人が試合までしちゃうという、本気でバカをやるWWEに魅せられて早十数年。現在「J SPORTS WWE NAVI」ブログ記事を担当中。映画はB級が好物。心の名作はチャック・ノリスの『デルタ・フォース』!

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