『ぴあ』最後の編集長 39年続いたのは「批判しなかったから」と振り返る
- 「ぴあ表紙イラスト展」を開催中の渋谷・大盛堂書店で店頭販売を行う谷岡編集長(右から2人目)ら
エンターテインメント情報誌『ぴあ』が7月21日発売の「最終号」で39年の歴史に幕を閉じる。これまでの発刊数は1341号に及び、時代と共に移り変わる若者文化の情報発信を担ってきた。
同誌がミニコミ誌として誕生したのは1972年7月。「いつ、どこで、なにが行われているか」という一次情報のみにポイントを絞った斬新な誌面が、当時の若者たちの支持を得、80年代には50万部を超えるまでに成長した。しかし、インターネットの普及により「情報だけ」を届けることの優位性が薄れ、部数は徐々に減少。同誌のホームページでも情報提供を行っていることから、「もはや紙の役割は終わった」として休刊に踏み切った。
「『ぴあ』は都会の読者だけでなく、地方から東京に出てきた方に対しても重要な役割を果たしてきた。右も左もわからないなか、『ぴあ』によって東京の姿を知ることができた。なくなるのは寂しい、という声を多くいただいている」と同誌編集長の谷岡正浩さん。「今後はウェブに軸足を移すことになるが、一次情報をいち早く読者に伝えるという基本スタイルは変えずに続けていく」とも。
また、同誌が39年にわたり続けてこられた理由については、「批判をしなかったことにある」と谷岡編集長は振り返る。「作品の評価はあくまで見た人のものであり、誌面ではどんな情報も価値判断せずに読者に提供するという独自のスタンスを貫いてきたことが、『ぴあ』を『ぴあ』たらしめてきた理由だった」
谷岡編集長は自ら編集部のメンバーとともに都内各所の書店に立ち、同誌の最後を見送る。「ぴあ最終号が発売中です!」という呼びかけを聞いた通行人からは、「本当に終わるんだ」「寂しい」という声が挙がっていた。