連載
続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!

第1回 『まほろ駅前狂騒曲』大森立嗣監督インタビュー

映画『まほろ駅前狂騒曲』の大森立嗣監督にインタビュー!! (文・写真/鴇田崇)

新連載! 「続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!」のメモリアルな1回目は、『まほろ駅前狂騒曲』のメガホンを取った大森立嗣監督インタビュー。もともと"まほろ"は主演の瑛太&松田龍平のイケメン力もあって女子の人気が高いシリーズだけれど、野郎が観たってカッコいいわけよ! 「カッコいい男たちって、自分のルール持っているものなんですよ」と同意してくれた大森監督に、"まほろ"シリーズが放っている魅力を聞いてみたよ。

――男性のファンには、多田と行天が理想の間柄だ、みたいな声が高いですが、どう思いますか?
  
僕には理想かどうかはわからないですけど(笑)、お互いをどこかで尊重しながら甘え過ぎず、最終的には一人で行天が出ていくみたいなことや、多田が結婚するとかはあり得るだろうし、そういう意味での依存しあってない覚悟みたいなものを持たせたいとは思っていました。あるいは、そういうことをやっていこうとする意思を持ってほしい気分もある。1人じゃ生きていけない甘い感じは嫌だなあと思っていましたが、そこはすごく微妙なところで、わかりやすくケンカとか仲直りがあって、という映画ではないので。グータラ、グータラ、どうするんだよと(笑)。でも、依存してないみたいな関係。

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――グータラしてはいますが、男としてのタフな要素は多田も行天も強いほうですよね?
  
チンタラはしていますが、カッコよく見えている感じはします。ただ、僕は一度も瑛太と龍平に言葉で求めたことはなくて、彼らは感覚ですぐ理解してくれる。そういうところは、やりやすい。瑛太も龍平もお酒を普段仲良く飲んでいる間柄ですが、仕事をする時には一瞬の緊張がある。監督として役者として、お互いに大丈夫なの? って、意識を投げ合う怖さ、緊張感みたいなものはありますよ。もしかすると、そういう関係性が映画にそのまま出ているかもしれませんね(笑)。

――多田と行天、どちらかに個人的な想いを投影していますか?
  
いや、どうだろう。映画全体を通した時に、瑛太、龍平、それぞれ一人のシーンがあるので、その時はそれぞれの感情に乗っかっていかなくちゃいけない時かもしれないですが、ふたりのシーンでおちゃらけているシーンが「まほろ」では基本的には多い。多いのですが、セリフがガッツリあってお芝居をしっかりしないといけないシーンでは、口を出す時もあります。そういう意味では、想いは乗っていることはあると思いますけどね、

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――監督と瑛太さん、松田さんのトライアングルがあってこそ、ここまでシリーズが続いたと思います。
  
どうでしょうかね(笑)。「まほろ」は特にスタッフも役者もチーム感みたいなものが強くて、瑛太と龍平がやっている芝居も、根底に互いを信頼しきっている関係がある、という前提がある気がしています。もしかすると、そういうものは画面に出ているかもしれないですね。まったくの初対面だと信頼関係を作るまでに時間がかかると思うけれど、「まほろ」の場合はストレスがない。

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――友だちがいないと余計にカッコよく、うらやましい関係です! 最後に野郎のファンへ一言頼みます!
  
日本映画のバディーもの史みたいなところで行くと、ある種の王道――ショーケンさん、水谷豊さん、優作さんたちのレベルには届いていないけれど、この時代にこういうことをやると、オフビートな野郎のバディー感が新鮮で、自分たちのルールを持っている、逃げないみたいな姿は、どうしたってカッコよく映ると思います。カッコいい男たちって、自分のルール持っているものなんですよ。誰かが決めたものじゃなくてね。自分のルール。そこを楽しんでほしいですかね。

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<STORY ※公式サイト引用>

ペンキ塗りから買い物代行、遺品整理にボディガードまで......。なにかと柄の悪い街、まほろで便利屋を営む多田啓介(瑛太)と、居候の同級生、行天春彦(松田龍平)。人生を捨てかけたバツイチコンビのふたりに、かつてない、やっかいな依頼が舞い込む。未だに会ったことのない、行天の実娘はるの子守り代行に悪戦苦闘し、謎の元新興宗教団体の隠密調査は、まさかのバスジャック事件に発展!そして多田の淡い恋の行方はいかに......。NOと言えない便利屋コンビの大珍道中にして最大の危機!乞うご期待!!

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(C) 2014「まほろ駅前狂騒曲」製作委員会

http://v.ponycanyon.co.jp/mahoro/index.html

鴇田崇(ときた・たかし)

1974年生。国内最大級のアクセスを誇る総合映画情報サイト「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在はフリー。年間延べ250人ほどの来日ゲスト、俳優、監督への取材を行い、雑談のような語り口で相手のホンネを引き出すスタイルは、一部の関係者に定評がある。史上もっともアガッたインタビューは、あのM・ナイト・シャマラン監督に「キミの体からは気が出ている!」とホメられたこと。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。

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