もやもやレビュー

「忙しい」生活を変えなければ「幸せ」は遠ざかる。『ミュージアム』

ミュージアム [DVD]
『ミュージアム [DVD]』
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> LawsonHMV

 ある日の英会話レッスンでのこと。外国人の先生が「過労死」というワードは英語にはないと教えてくれました。辞書で調べると、見事ローマ字で "Karo-shi"と書かれていて、びっくり。そう、仕事の忙しさに犠牲になってしまうのは、日本独特の働き方なんです。しかし、それが当たり前だと思い込み、多忙な日々を放置していたり、忙しいことを言い訳にしていたら、幸せを感じられる時間がうんと少なくなってしまうかも。猟奇的殺人を描いた映画『ミュージアム』の主人公は、まさに多忙すぎて幸せとは程遠くなってしまった刑事。

 沢村久志(小栗旬)は、雨の日にだけ起こる猟奇的殺人事件を担当する優秀な刑事。捜査により、被害者たちの共通点は、過去に起きた『幼女樹脂詰め殺人事件』の裁判の関係者だということが判明します。沢村の妻・遥(尾野真千子)も裁判員の一人。しかし、その事実が判明したとき、沢村は遥と息子の行方を知らなかったのです。多忙のため家族をほったらかしにしてしまった沢村に愛想をつかし、出ていってしまったから。身内が関わっていることで捜査からも外されてしまった沢村は、後輩の新米刑事・西野(野村周平)に協力してもらい、自力で遥と息子を探します。

 家族が狙われていると知ってからの、沢村の自己嫌悪がすごい。これまで「幸せ」とすら感じることのできなかった、些細な時間などがとても貴重で幸福なものだったと痛感するのです。一緒にコンビニにいったシーンや息子が絵を書いているシーンなどが走馬灯のように頭の中を駆け巡ります。沢村はその自己嫌悪と、不安のせいで荒れに荒れまくる! 叫び散らすわ、負のサイクルから抜け出せないわ、もう大変。それでも残念ながら遥たちは見つかりません。調査中、遥の親友に話を聞くと、遥が流産していた事実も発覚。自分は多忙のために家族の抱えていた悩みなどを全く知らなかったことに後悔するのです。

 「多忙」を言い訳に、大切な人との時間を無下にしていませんか? そんなメッセージまで含まれているような気がする本作。「私は本当に忙しいのか?」と自分に問いかてみるのも大切かも。沢村のブルーな気持ちが移ってしまうほど激しい描写がある本作からは、日々気づかない大切なことを学べます。

(文/トキエス)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム