現役復帰後に成功したFMW総帥や第二の黄金期を経験したMr.レッスルマニアを思い出す『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』
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引退しても復帰する率がヤケに高いプロレス界。ある団体では引退扱いだけど、他団体・国外など治外法権になれば現役選手、なんて例もあります。それでも二度目以降のキャリアで成功する選手は多くはありません。
ということで、今回のお題となる『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』(2013)は、絶頂を極めながらも事実上の引退に追い込まれた男が新たなチャンス到来で復帰が叶い、第二の成功を得るも......という、ウィル・フェレル十八番の没落成り上がりコメディです。
70年代のNYニュース番組狂騒劇を描いた前作『俺たちニュースキャスター』(2004)で、人気キャスターの地位を不動のモノにしたロン・バーガンディ(W・フェレル)は、日頃の失言癖もあり局長から解雇を言い渡され、水族館のイルカショーの司会に転落。
そんな折、開局したばかりの24時間ニュース専門局GNN(要は1980年開局のCNNですね)にスカウトされたバーガンディは、同様に引退していた仲間たちを引き連れ、NYに凱旋復帰。ところが不人気な夜間帯を押し付けられ大苦戦。さらに以前古巣でコンビを組んでいた妻は看板キャスターに大出世した上、恋人(実は良い奴)と同居していた。
焦るバーガンディは若手人気キャスター相手に「視聴率で負けたらNYから出て行く」という賭けをしてしまったが、破天荒なニュースと取材構成(WWE的に表現すると「Attitude時代のようなお下劣路線」)で視聴率引き上げに成功。チームの顔役であるバーガンディは再び話題の人に!
だが、仕事優先で息子の科学発表会をすっぽかした末、バーガンディ自身に一大事が発生。この事件を機に家族との絆を取り戻しつつ、ウィル・スミス、リーアム・ニーソンのほかジム・キャリーらSNL人脈のゲスト大量投入によるセントラル・パークでの無駄に豪華なバトルシーンから家族愛ワッショイな結末へ。
こんな感じで復帰後にも成功を掴んだバーガンディのように、プロレス界でも引退~復帰後にさらに人気になった選手といえば、大仁田厚が有名です。
全日本プロレスのホープとして期待されながらも膝の怪我で引退。ジャパン女子プロレスでのコーチ対決の名目で現役復帰後、89年にその時の全財産5万円で『FMW』を旗揚げ。過激なデスマッチを武器に当時の二大メジャーである新日プロ・全日プロに次ぐ第三勢力、そして今に至るインディ団体乱立の潮流を産んだことでも知られます。
海外だと、"Mr.レッスルマニア"と称されたショーン・マイケルズも絶頂期にヘルニアなどの怪我で引退。ストレスでドラッグ漬けになりかけるも子供の誕生を機に敬虔なクリスチャンに。体調回復もあり、2002年に現役復帰すると、シナら次世代スターらの壁役になりながらも、時にはそれ以上の人気を博し、第二の黄金期が到来。惜しまれつつも2010年に再び引退しています。
尚、本作のオチとしては再び引退という形になるんですが、現役中に家族を顧みなかったプロレスラーがよく挙げる引退理由とも重なる内容となっており、その辺りもプロレスとの共通性を感じる作品でした。
(文/シングウヤスアキ)