推し活、ペット、子どもの事故...... 身近に潜む「破産」の恐怖

- 『人はこんなことで破産してしまうのか! 推し活、ペット、不倫、介護、投資……普通の人でもハマる落とし穴 (単行本)』
- 永峰 英太郎,速水 陶冶
- 三笠書房
- 1,430円(税込)

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「破産」とは、借金の返済が困難になった場合に、裁判所を通して財産を清算し、残った借金の返済義務を免除してもらう手続きのことだ。多くの人は「破産」と聞くと、「ギャンブルで身を滅ぼした」「事業が失敗した」といった理由を思い浮かべるだろう。しかし実は、「破産」は誰にでも起こり得ることだ。
思いがけないさまざまな破産エピソードを紹介して注意を促しているのが、今回紹介する『人はこんなことで破産してしまうのか! 推し活、ペット、不倫、介護、投資......普通の人でもハマる落とし穴』(三笠書房)。本書で取り上げられているエピソードを、いくつか見てみよう。
まずは、昨今ブームになっている「推し活」による破産エピソードから。アイドルのライブに参加したことをきっかけに、推し活にハマった男性の転落模様が生々しく描かれている。男性は休日や有給休暇を使って、時には嘘をついて会社を休み、アイドルの全国ツアーにほぼすべて参加するほどのハマりっぷりだったという。
「交通費や宿泊費もバカにならず、平均すると1回のライブでトータル4万円を超える出費となった。さらにファンクラブの会員費、特典券つきのCDやDVDなどの購入費やチェキと呼ばれる撮影費もある。アイドルにつぎ込むお金は、毎月、10万円以上となった」(本書より)
推し活にかける金額が年々高まっている要因の1つが、ライブチケット代やグッズ代の高騰だ。男性は給料だけではカバーできず、消費者金融から借入れをして足りない分を賄うようになり、最後には破産した。
推し活の恐ろしいところは、ライブに参加したりSNSを利用したりすることで"同じ好き"を持つ仲間とつながりやすい反面、見栄の張り合いも起こりやすいこと。本書で紹介されている男性も、自身のプライドを保ち承認欲求を満たすため、アイドルのツアーに「全通」(すべての公演に通うこと)して、100万円以上の金額を使うこともあった。
推し活という趣味は、依存性をはらんだ危険な一面も持っている。推しを応援する際は他人を気にせず自分のペースでおこなうこと、より多くお金を使ったファンが偉いと思わないこと、入れ込み過ぎていると感じたら距離を置くことが重要だ。
続いて、ペットの飼育費が原因で破産した事例を紹介しよう。2匹のネコとともに暮らしていた、書籍編集者として働く女性の話だ。その女性は、他界した両親が飼っていた7匹のネコを引き取った。
「ネコを飼うには、健康体であっても、それなりの費用がかかる。
女性が飼っていたネコは、1匹で年間15万円程度かかっていた。9匹となると、単純計算で年間135万円である」(本書より)
これはネコが健康体であった場合の費用だ。女性が引き取ったネコたちは高齢で、病気や怪我などのトラブルが立て続けに起こり、医療費がかさんだ。また、外出時にはエアコンをつけっぱなしにするため、電気代もかかる。結果として、9匹のネコと暮らし始めた最初の年、ネコにかかった費用は300万円を超えたという。
女性はお金の工面やネコの世話で疲れ果て、精神的に病んでしまった。会社も休みがちになり、追い詰められる一方である。今はまだ借金はしていないが、このままでは近い将来、消費者金融に手を出すことは確実だ。
生き物をかわいがる気持ちは素晴らしい。しかし飼育費用という現実的な面を考慮せずに感情だけでペットを飼おうとすると、自分もペットも不幸になる。ペットは「一度飼ったら、一生面倒を見る必要がある」こと、「病気になればその分お金がかかる」ことを覚悟しておかなければならない。
最後に紹介するのは、子どもの自転車通学が原因で破産した例だ。マウンテンバイクに乗った学校帰りの少年が、散歩中の高齢女性と正面衝突。女性は転倒し、頭蓋骨骨折などの傷害を負い、意識不明となった。
その後、女性側の親族は損害賠償を訴える。監督義務を果たしていなかったとされた少年の母親に対する請求額は、約1億円。母親は子どもにライトの点灯やヘルメットの着用を促すなど、十分に監督責任を果たしていたと主張したが認められず、裁判所は母親に9500万円超えの賠償を命じた。このように、子どもが起こした自転車事故によって親が多額の賠償金の支払いを命じられた例はいくつもある。
「では、賠償金が高すぎて支払うことができない場合は、自己破産すれば、その責務から逃れられるのかといえば、そうとは言い切れない。交通事故で故意に相手に身体的・精神的な損害を与えた場合は、免責されないのだ」(本書より)
子どもには自転車を乗る際のルールをしっかり指導しておくことが重要。また、現在は多くの自治体で「自転車損害賠償責任保険等」への加入が義務化されている。万が一に備え、加入しておいたほうが安心だろう。
本書を読めば、どんな人間のそばにも「破産」という落とし穴がぽっかりと口を開けていることに気づくはず。収録されているエピソードを反面教師にして、破産につながる事態を回避してほしい。