なぜ日本の住所はこんなにややこしい? 「ハイフン」に潜む落とし穴

ヤバい日本の住所 (幻冬舎新書 805)
『ヤバい日本の住所 (幻冬舎新書 805)』
河合太郎
幻冬舎
1,056円(税込)
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 皆さんは普段、どれほど「住所」について関心を持っているでしょうか。実は位置情報や住所データを仕事で扱う人々にとって、日本の住所というのはツッコミどころ満載で、大変厄介なものなのだそうです。

 ヤフー株式会社で地図サービスの開発に携わった後、現在はAppleで「マップ」アプリの改善を担当する河合太郎氏も、そうした苦労を経験してきた一人。著書である『ヤバい日本の住所』は、思わず人に話したくなるような住所の謎について徹底解説した一冊です。

まずは、私たちの生活に近いところのお話から。住所を表記する際の「●番」と「●番地」はどう違うのでしょう。そして、どちらが正しいのでしょうか。これは不動産登記のための仕組みである地番制度では「1番」、住所としては「1番地」という表記になるのが一般的だそうです。

 さらには、住所に特化した新しい仕組みである「住居表示制度」においての街区の表記も「番」。「番」と「番地」は文字面の見た目は非常に似ていますが、それぞれは異なる仕組みであり、しかもこの2種類が同時に運用されているという混沌とした状態になっているそうです。

 ややこしいのが、同じ自治体の中でも住居表示が部分的に導入されているところもあれば、地番制度のままのところもあるという点。たとえば、千葉県にある「舞浜小学校」のウェブサイトに「浦安市舞浜 2‐1‐1」と書かれてあります。そして、同じ浦安市の「ディズニーアンバサダーホテル」の運営会社のオフィシャルサイトには「浦安市舞浜 2‐11」と書かれています。これを見ると、多くの人が「どちらも同じ2丁目にある」と思うことでしょう。

 しかし実際は、住居表示実施地域の舞浜小学校は舞浜2丁目で、ディズニーアンバサダーホテルは住居表示が実施されていない舞浜2番地を指しているそうです。これには「ハイフン表記の落とし穴」があると河合氏は指摘します。もし「舞浜2丁目1番1号」や「舞浜2番地11」と表記されていれば、違う構造をしていることがわかるはず。

 ハイフン表記の広まりは便利である一方で、このような弊害もあるのか......と、普段何気なくハイフンを使って住所を表記している身としては驚くばかりです。

 他にも、街区符号も住所番号も同じなのに別々のビルや、日本で唯一、住所に「A」「B」「C」が含まれる街区、京都の住所に見られる「上ル」「下ル」、長野県長野市南長野県町という「長野」がインフレした住所など......。当初は茶化すように「ヤバい」住所を取り上げていた河合さんですが、書くほどにだんだん愛おしくさえ感じられるようになったそうで、「住所を知ることは、その土地と歴史を知ることなのだ」(本書より)と実感したそうです。

 歴史や行政の事情、地域の人々の思いなど、さまざまなものが詰まった、全国に実在する住所の数々。それを皆さんも本書でのぞいてみてはいかがでしょうか。

[文・鷺ノ宮やよい]

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