円安時代のFX、「負けない」ためには? 元プロサッカー選手のトレーダーが説く相場との向き合い方

人生を変える! 負けないFX投資術——5万円から始める前に知っておきたい相場の見方
『人生を変える! 負けないFX投資術——5万円から始める前に知っておきたい相場の見方』
片山博義(HIRO)
さくら舎
1,980円(税込)
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 ここ数年、円安をめぐるニュースが続いています。2026年7月下旬には1ドル=164円に迫る水準まで円が売られ、月末には日本の通貨当局による円買い介入に米国も加わりました。日米が協調して円を買い支えたのは、1998年以来およそ28年ぶりのことです。海外旅行の費用や輸入品の値段にも響くだけに、為替のニュースを「自分ごと」として追うようになった人も多いのではないでしょうか。

 関心が高まれば、為替の変動そのものを資産づくりに生かせないかと考える人も出てきます。その代表的な手段がFX(外国為替証拠金取引)です。預けた資金(証拠金)をもとに外国の通貨を売買し、為替レートの差から利益を狙う取引で、少額から始められるのが特徴です。とはいえ、「難しそう」「大損しそう」というイメージから踏み出せない人も少なくないでしょう。そうした人にこそ手に取ってほしいのが、『人生を変える! 負けないFX投資術----5万円から始める前に知っておきたい相場の見方』です。

 著者の片山博義(HIRO)さんは、17歳でドイツのプロサッカーチームに入団し、19歳でプロ契約を結んだ元サッカー選手です。引退後は日本サッカー協会公認A級コーチとして選手育成に携わってきました。FXを始めたのは、その指導者時代の2008年です。30万円の元手で臨んだ当初は大きな損失も経験しましたが、失敗の原因を分析し続け、約3年で独自の手法を確立しました。トレード歴は18年に及び、現在は自ら主宰するトレードスクール「スマートサロン」で700人以上を指導しています。

 FXの入門書には、勝つための手法を中心に据えたものが少なくありません。そのなかで同書がユニークなのは、タイトルのとおり「いかに負けないか」を軸にしている点です。片山さんにとってFXは、一攫千金を狙う手段ではなく、好きなことを続けるために人生に安定をもたらすための手段です。大きな利益を追うより、少額でコツコツと積み重ねることが安定した結果につながると説きます。

 同書はまず、なぜ多くの人がFXで負けてしまうのかという問いから出発し、勝てる人と負ける人を分ける思考や姿勢を掘り下げます。そのうえで扱うのが、相場の構造の捉え方やインジケーターの使い方、売買を始めるタイミングである「エントリー」の判断といった実践編です。インジケーターとは、過去の値動きをもとに相場の方向や勢いを示す分析指標のことで、同書はその「正しい付き合い方」に一章を割いています。

 こうした知識を結果につなげる鍵として、片山さんが強調するのが「ルール」と「習慣」です。

「トレードで結果を出すために必要なのは、特別な才能ではありません。判断基準を整え、それに従い、それを習慣にすること――。この積み重ねが、トレードの土台になるのです」(同書より)

 後半では、大きな損失で相場から退場しないための備えと、トレード後の振り返りが取り上げられます。

 興味深いのは、その振り返りの対象が売買の判断だけにとどまらない点です。片山さんは、相場の状況を把握する「環境認識」になぞらえ、心身のコンディションや身の回りの状態を整える「環境整備」の大切さにも触れています。負けたトレードの判断を反省するだけでなく、判断を下す自分自身の状態にまで目を向けているのです。その発想は、コンディションづくりが勝敗を左右するアスリートの世界で生きてきた片山さんならではのものといえるでしょう。

 FXをギャンブルではなく、未来の選択肢を広げるための学びとして捉え直す同書。為替のニュースが気になり始めた人はもちろん、取引をしていても結果が安定しない人にとっても、自分のトレードを見つめ直すきっかけになりそうです。

【関連リンク】
スマートサロン公式サイト
https://smasalo.com/

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