「何を買うか」より「何を買わないか」 全米屈指の金融ライターが紐解く"お金"と"人生"の関係

アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?
『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』
モーガン・ハウセル
ダイヤモンド社
1,980円(税込)
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 日常生活を送る上で、なくてはならない"お金"。食費、光熱費、通信費など定期的に消えていくものに加えて、「あれが欲しい」「ここに行きたい」という欲求に従って消えていくお金もあるだろう。一方で、「このお金の使い方は本当に正しいのだろうか」と立ち止まって疑問を抱く人も少なくない。

 お金を道具として賢く使いこなし、より良い人生を築くためにはどうすべきかを指南してくれる1冊が、今回ピックアップした『アート・オブ・スペンディングマネー:1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』(ダイヤモンド社)だ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙の元コラムニストにして、全米屈指の金融ライターといわれる著者モーガン・ハウセル氏がお金と人生の関係を紐解いている。

 ハウセル氏は「あなたを幸せにするもの」という章の中で、繰り返し"対比""ギャップ"という言葉を用いている。お金との付き合いで満足感を得るには、以前は贅沢と感じていたものでも次第に慣れてしまう「快楽のトレッドミル」に抗わなければならないという。その手段のひとつとしてハウセル氏が挙げたのは、意外にも「贅沢を最大限に楽しむために、普段はシンプルな生活を心がける」ことだった。

「何を『たまの贅沢』の対象にするかは人それぞれだ。私の場合、自分が大好きなもの----レストラン、旅行、飲み物など----を見つけたとき、それを常に手に入れようとするのではなく、どうすればこれをたまに楽しむ贅沢にできるかを考えるようにしている。シンプルな生活に満足していると、ときどきの贅沢が、魔法のように素晴らしいものに感じられるようになる」(本書より)

 また、お金にまつわる他人との比較や"嫉妬と羨望"についても言及。多くの人にとって、買おうとしているものに価値があるかどうかは、"他人が持っているものより良いものか"が判断基準になるという。それは人として自然なことでありながら、周りの人の持ち物への嫉妬が、お金を使う動機になるという。

 欲しいと思ったものを手に入れて、満足できるとは限らない。他人を羨むことは自分の生き方を他人任せにすることだと指摘したハウセル氏は、他人を追いかけてばかりいて"自立"できていないと厳しい現実を突きつけた。

「誰もが『私は自立している』と思いたがっている。心の底では、自立こそが目標であると知っているからだ。だからこそ、他人に嫉妬しているのを認めることは、劣等感を告白することになるのだ。自分をよく知り、自分が本当に望むものに近づくほど、たとえ自分が持っていないものを他人が持っていたとしても、それを羨ましく思うことは少なくなっていく」(本書より)

 高級志向の友人と親しくしていると、そのライフスタイルに影響されやすくなる。"誰と付き合うか"によって"金遣い"が決まり、「どれだけ稼ぐか・どれだけ使うか」と同じくらい幸福感に大きく影響するという。

 では、どのようにお金を使っていけばいいのだろう。ハウセル氏は「様々なお金の使い方を試し、取捨選択する」と提言しつつ、以下のように綴った。

「私は、次のことを強くお勧めする。それは、予算の許す範囲でできる限り多くの種類のお金の使い方を試し、自分に合わないと思ったものは素早く、躊躇なくやめることだ」(本書より)

 取捨選択を繰り返すことで、自分にとってお金を使うにふさわしい"何か"が見つかるという。ただし、高価なものを買ったからといって必ずしも幸せになれるわけではない。ブランドに固執するのではなく、自分が"最も幸せになれるもの"に集中することが、新たな発見へのチャンスを広げるはずだとしている。

 もうひとつ、ぜひ紹介したいハウセル氏のアドバイスがある。それは「大切なのは『何を買うか』より『何を買わないか』」という言葉だ。ハウセル氏は現代の消費行動における"危険なこと"として、広告で宣伝されているものや高価なものを買えば気に入るはずという"思い込み"を挙げている。実際に気に入ったとしても、広告効果に騙されているかもしれない。

「価値を感じられないものにお金を使うことよりも、そうしたものにお金を使わなかったときのほうが良い気分になれると理解できたとき、あなたは賢くお金を使えるようになる」(本書より)

 お金の使い方は人それぞれ。ハウセル氏も、万人に当てはまる答えは存在しないと明言している。それでももし、自分自身のお金の使い方に疑問 を抱いたことがあるなら、ハウセル氏の助言に目を通してみてはいかがだろう。あなたが求める"本当の幸せ"が手に入るかもしれない。

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