刃物を向けられたらどうする? 知っておきたい身を守る行動の優先順位

- 『君にもできる刃物犯罪対処マニュアル: 元特殊部隊隊員が教える危機管理と護身術入門』
- SOU,二見 龍
- 誠文堂新光社
- 1,870円(税込)

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テレビを見ると流れてくる凶悪犯罪のニュースを、どこか他人事だと思っていないだろうか。強盗や殺人事件の被害に遭った人たちも、その瞬間までは自分が巻き込まれるなんて思っていなかったはずだ。ふと「刃物を向けられたらどうしたらいいのだろう?」と考えてみた。
SOU氏と二見龍氏による著書『君にもできる刃物犯罪対処マニュアル:元特殊部隊隊員が教える危機管理と護身術入門』(誠文堂新光社)は、そんな疑問に応えてくれる一冊だ。犯罪に巻き込まれたときに意識すべき優先順位や、犯人を前にしたときの対処法を教えてくれる。いざというときに逡巡する時間を省ければ、大切な家族や自分の命を守る確率を上げられるだろう。
「2018年には走行中の新幹線の車内において鉈で一人を殺害し、二人に重軽傷を負わせる事件が起きているし、2021年には東京の京王線内で、映画『ジョーカー』の主人公を真似た男が刃物を振り回し、さらにペットボトルに入れていたライターのオイルを撒いて火をつけ17人の重軽傷者を出すというショッキングな事件も発生した」(本書より)
日本は安全な国というイメージがあるが、無差別殺人や強盗などの犯罪は起こる。そして、使われる凶器として最も多いのが刃物である。刃物による殺傷は音がしないため、気づかないまま被害が広がり危険だと著者は伝える。そのため、ナイフで刺している人を見つけたら真っ先にするのが、周囲の人たちに知らせることだ(この行為をサウンドオフという)。
「日本で銃器犯罪に遭遇することはあまりないだろうが、米国にならえば『銃だ、銃だ!』とか、『ナイフだ、ナイフ!』といった言葉になるだろう」(本書より)
犯人を指で示し、大声で「ナイフ!」と知らせることで大勢の意識が向き、犯人が継続を躊躇したり、逃走を考えたりするかもしれない。たとえ犯行が止まらなくても、時間は稼げる。その間に、誰かが通報し、逃げることができればよいのだ。
本書が教える犯罪遭遇時の優先順位として高いのは、「サウンドオフ」と同時に「逃げる」こと。「通報する」のは、安全な場所まで移動してからだ。万一、逃げ道がなければ「隠れる」ことで時間を稼ぐ。また、目の前に犯人が迫っているならば「防御」が必須だ。そして、大事な人を守るために「戦う」よりほかない場合もあるだろう。
「戦う」前におさえておくべきなのが「防御」。本書では、写真付きでしっかり説明されているので、よく見て練習しておきたい。最初の一撃で致命傷を受けないよう横にずれて、心臓や太い血管のある急所を守る。犯人と向き合い、自分と相手との間に盾となる何かを挟むことが大事だ。
たとえば手元にあるカバンやリュックが役に立つ。持ち手が見えると危険なので、絞り込むようにして持ち、犯人から手が見えないように意識するのがポイントだ。カバンを振り回すと隙ができるので、自分の近くに構え、相手の攻撃をしっかり見て対処しよう。
そして、最後の手段として「戦う」道を選んだら、生き残るために大事なのが「マインドセット」だ。
「マインドセットとはつまり、自分が傷付こうとも、そして相手を傷付けようとも最後まで戦う覚悟をするということ」(本書より)
中途半端な攻撃は、自分や近くにいる人の命を危険にさらしてしまう。犯人が倒れても力を緩めることなく、徹底的に攻撃する覚悟が必要だ。勝敗に善悪はまったく関係がないと著者は明言している。
「戦う」ときは、身近にあるものを利用する。スマホで顔を攻撃するのも有効だという。パイプ椅子は盾になるし、傘は先端で顔を攻撃したり、開いて自分の急所を隠したりできる。いずれにせよ、犯人の顔や、ナイフを持つ手を素早く攻撃すること。そして、刃物の攻撃を受けたら、そのままひねって押し倒す。犯人は待ってくれないので、普段から何が攻撃に使えるかを意識しておくとよいそうだ。
「接近する車両や人物には常に注意を払い、危険を感じたらすぐに通報できるよう携帯電話やスマートフォンを手にして歩く。スマートフォンの画面に夢中になったり、イヤホンを装着したまま歩いたりすることは、迫る危険に気付きにくいので絶対にしてはならない」(本書より)
誰だって危険なシチュエーションに遭遇する前に回避したい。そのために大事なのが、日頃の防犯意識である。1人で歩くときは辺りをよく見て、普段と異なるところがないか観察する。不審な車や人には近づかないのが鉄則だ。
家族で「犯罪ハザードマップ」を作るのもよいだろう。地図に暗い道や繁華街など犯罪リスクのある場所をマーキングし、夜間も営業している逃げ込める店をチェックしよう。非常事態で自宅に入れないときの集合場所を家族で共有しておくこともおすすめされている。
異変に気づくアンテナを研ぎ澄ませ、素早く対処すれば生存確率を上げられる。この本の知識が、きっと日常生活のお守りになってくれることだろう。