木爾チレン(きな ちれん)

1987年6月3日生まれ。
短編小説「溶けたらしぼんだ。」で第9回「女による女のためのR-18文学賞」優秀賞を受賞し、2012年「静電気と、未夜子の無意識。」で単行本デビュー。
その後、ボーカロイド楽曲を小説化した「蝶々世界」「Just Be Friends.」、少女小説「アイドル生徒会!」、大人気ゲームのノベライズ「Deemo」「殺戮の天使」などを手掛ける。
愛猫ミシンと、京都で暮らしている。

博士による紹介

【碇本学による著者紹介】

デビュー作『静電気と、未夜子の無意識。』を読んだ時に、脳裏に浮かんできたのは渡辺あや脚本『ジョゼと虎と魚たち』だった。のちにチレンちゃんもこの作品が好きだとわかったのだけど、この作品の影響を受けた彼女が自分の中に取り込んで自身の物語の土台というか雛形にして小説にしたんだと思った。
主人公の未夜子は可愛くて他の女子からも「おはよう」よりも嫌みや悪口を言われた方が多い女の子だ。恋に真っ直ぐな彼女はその辺りの女子をシカトして自分の見たい景色を自分の色彩で彩る。
夜空に輝く花火や生きていた金魚は鮮やかで美しい。しかし、すべてが終わった後の曇る空や死骸になった金魚は哀しく朽ちている。だけど、美しかったその瞬間の想いこそが彼女の生きる意味であり、存在証明でもある。この未夜子はやはり著者であるチレンちゃんを彷彿させる。

実際に会ってお話をした時の彼女は京都生まれ京都育ちのはんなりとした可愛い女の子だった。しかし、話していると小説に対する熱意や話し方とは真逆のような意志の強さを感じさせる小説家でもあった。
デビュー作以降はノベライズやボカロ小説を手がけているが着実にファンが増えているし、それらの作品は台湾などでも発売されていて海外にもすでにチレンちゃんのファンがいる。
東京ポッド許可局で前に話されていた「辺境の人たち論」みたいに、今彼女が書いている作品はいわゆる小説の王道ではないかもしれないが、着実にファンが増えていて少しずつ中央に、辺境から中心に寄っていくことで、最終的にはど真ん中の売れっ子の小説家になっていくのではないかということを、メルマ旬報TVに出演した時に言おうと思っていたのだけど、そこまでの話をする前に博士さんがデビュー作の帯に写っていたチレンちゃんの顔を見て「連載してもらおうよ」という話になった。そのことをこうやって紹介文で書くことができてよかったです。

チレンちゃんの書く物語は闇夜の中で戯れながら、感情や言葉が夜光虫みたいに自らを光源として道標をつけて、やがて朝日の中に溶けていくような煌めきと儚さがある。そんな眠り姫は夜に戯れて現実と夢の境界線で踊る。踊り続けて朝日の中で眠りに落ちるみたいに。彼女しか書けない世界は現実よりほんの少しだけ浮いている。それは誰かに恋をした時のような淡い気持ちに似ている。

【動画】『メルマ旬報.TV』ゲスト・木爾チレン(2017年3月31日放送)
https://videotopics.yahoo.co.jp/video/stove/108500