芸人本書く派列伝
1968年生まれ。ライター、文芸評論家、書評家。 ミステリー小説の書評を中心に雑誌やWeb上で執筆活動を行う。 また、映画や漫画などのノベライズ作品も執筆。 近年はブックフェアなどのイベントで、講座やトークショーなども。 著書:『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』『これだけは知っておきたい名作ミステリー100』など
2022年7月1日号
オール巨人『漫才論』は、現場の人間だからこその発見が多い一冊だ。 漫才師の側からこの芸を語ることは難しいのだと思う。台本があるにしても、コンビによって作り上げていく非言語的な要素の方が大きく、大原則のようなものはない。あるいは、時代と共に目まぐるしく変化していく。第一次漫才ブームにおいて時代を築いたビートたけしにしても自身の芸を第一とはせず、現在から見れば遅いしゃべりになるだろうという趣旨の発言を・・・
2022-07-01 更新
2022年6月16日号
おぼん・こぼんの二人が不仲だったなんて、別に意外でもなんでもない。 しばらく前に、テレビ番組で二人を仲直りさせるという企画があった、らしい。観ていないし、ネットニュースで流れてきたときも、そんな他人様のご内証をわざわざ番組で弄るのは変だし、その話題を二次使用して記事にする人も浅ましいな、としか思わなかった。 コンビ芸人が舞台を不仲であるという話はそれこそ星の数ほどある。仕事だから組んでいるのであっ・・・
2022-06-16 更新
2022年5月29日号
澤孝子は浪曲そのものであった。 尊敬する浪曲師なのでたいへん畏れ多いが、以下はすべて敬称を略して書く。 5月27日は毎年恒例のNHK東西浪曲大会の収録日で、東京・内幸町のイイノホールが会場となり、天中軒雲月、東家三楽、玉川太福、真山隼人、国本はる乃が熱演を繰り広げた。観覧の余韻に浸りながら帰路に就く。スマートフォンを眺めるとSNSに信じられない投稿があった。「澤孝子師匠が脳溢血で亡くなった」。現役・・・
2022-05-29 更新