ぼくは、いかにややこしい人を取材し、原稿を書き続けてきたか――私的ノンフィクション論
1968年3月13日京都市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て、1999年末に退社。 著書に『W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇―』(新潮文庫)、『辺境遊記』(英治出版)、『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)、『維新漂流 中田宏は何を見たのか』(集英社インターナショナル)、『球童 伊良部秀輝伝』(講談社 ミズノスポーツライター賞優秀賞)、『真説・長州力 1951-2018』(集英社)。『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』(光文社新書)、『真説佐山サトル』(集英社インターナショナル)、『ドライチ』『ドラガイ』(カンゼン)、『全身芸人』(太田出版)など。最新刊はドラフト4位選手たちの人生を描いた短編集『ドラヨン』(カンゼン)。
第三一回 二〇〇二年ワールドカップ開催地の鍵を握る男とのニアミス
国際サッカー連盟(FIFA)会長だったジョアン・アベランジェの取材は1分という約束だったが、取材に15分、その他、雑談で計30分ほど彼の事務所に滞在することになった。「今年、日本には行きたいと考えている。ただし、FIFAの会長としてではなく、日本とブラジルの友好百周年記念行事実行委員会の一員としていだ。サッカー関連のイベント、特に、ワールドカップ招致委員会の招待を受けることはできない。というのも、・・・
2022-05-09 更新
第三〇回 FIFA会長・ジョアン・アベランジェとの邂逅
リオ・デ・ジャネイロの太陽は朝から暴力的だ。宿泊していたシェラトンホテルのカーテンを開けると、太陽に照らされた海、海沿いの小道を散歩をしている人たちが見えた。リオらしい心躍る眺めだ。 朝食を取るため一階に降りると、エレベーターホールでダークスーツを着た東洋人の一団と出くわした。移民国家であるブラジルは、日本などの東アジアを出自とする人間は少なくない。他の客から目を引いたのは彼らが揃って・・・
2022-04-10 更新
第二九回 ジーコ・サッカーセンター「オープニングセレモニー」
一九九五年一月十七日朝、阪神淡路大震災が起きた日、ぼくはサンパウロ空港に到着した。 ブラジルとの時差十二時間に身体を慣らすために、夜まで必死で眠気を必死でこらえた。そして翌日、飛行機でリオ・デ・ジャネイロに向かった。同行したエドゥことエドワルド西尾は申し訳なさそうに「今回はリオのシーザーパークが取れなかった」と言った。シーザーパークはこの連載で触れたように、日本の青木建設が経営する高級ホテルである・・・
2022-03-10 更新