第6話:シンディ&ザ・ロックス『ベイビー、ずっと抱きしめて』

1.2014年の暮れ。肌寒い毎日が続く中、そんな外の気温を感じることなく、暖かいエアコンが効いた病室の中、シンディが病院のベッドに横たわっている。シンディと言っても、日本人だ。病室には「鮎崎悦子」という本名の札がかかっている。でも、シンディの本名を知るものは、彼女の友人でも数少ない。それくらいシンディという、外国人風のニックネームが浸透している。ベッドの片隅に置いたポータブルCDプレイヤーから伸びるイヤフォンを引き寄せる。ローリング・ストーンズの『サティスファクション』が聴こえる。シンディが、夫の鮎崎守と一緒に組んでいるバンド、シンディ&ザ・ロックスでカバーした曲だ。ザ・ロックスのバージョンでは、鮎崎守がボーカルとギターを担当し、タイトなリズムセクションをバックに、シンディが溌剌としたシャウトを決めていた。しかし、今のシンディには、もうシャウトなんて出来ない。がんが全身に転移して、歌うどこ・・・・・・・・・・

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