碇のむきだし

碇本学

2022年9月25日号

小説『セネステジア』 鬼が人を吐き出していた。 人間であるはずのそれは、鬼の大きな舌をできるだけ大きく広げた口元から出しているようにも見えなくもなかった。 畏敬の姿をしている鬼を見ることになる鑑賞者にとって、舌の表面のように見える部分は人間の頭部と背中で、一番下にある舌先の部分は筆の毛先のような形をしている首から上の部分だった。その首先にある長い髪の毛が地面にむかって垂れているような形になっている。鬼の造形に対して、舌に見える人間の部分はできるだけ単純に、パッと見では舌にも見えるように創作者が意図的に作ったのではないかと感じられた。 一瞬見間違える。しかし、見続けていると人間だとわかり、鬼の形相は吐き出している人間に、見ている者へ向けられているのがはっきりと伝わってくる。 ブロンズで作られた鬼の肉体は筋骨隆々で完璧な姿かたちをしていた。 左肩からみぞおちを通って右脇腹を覆う布があり、へその・・・・・・・・・・

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