碇のむきだし

碇本学

2022年2月1日号

「晴海客船ターミナル」 「ほら」とウナさんが言います。興奮して、声の体温があがっているのが感じられます。ちょっとだけ、0•5℃だけ。でも真剣な興奮です。「ほら、この看板」 僕はびっくりします。 そこには、ココガ神田川ノ源流デス、と書いてあります。 僕は後ろをふり返ります。僕たちがいま立っている橋の、むこうに小池があり、カネコさんがいた島があり、それから<ひょうたん橋>と、井の頭公園の池を閉ざしている水門があります。僕は、僕たちが完全に池が終わってしまった地点に立っていることを、知ります。そして、その場所――池のおしまい――から、川が流れだしていることを知ります。「ね?」とウナさんが言います。「はい」と僕は言います。「この速い流れ、細いけれど速い、これ――これが、源流だって」「川の源流って」「うん」「僕、初めて見ました」と僕は言います。「おれもだよ」とウナさんは言います。・・・・・・・・・・

続きをお読みいただくには「会員登録」と「購読申込」が必要です。

毎月500円(税込)で読み放題+電子書籍版でまとめて読める

読み放題+電子書籍で購読

1記事100円(税込)で気になる記事だけ購読記事を単品で購入する

サービスの概要を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。
購入した記事は購読一覧で確認できます。