碇のむきだし

碇本学

2021年9月24日号

『レイテストナンバー』  アスファルトの割れ目のように、数えきれないほどのひからびたミミズの死骸を遠矢希【とおやのぞみ】は無言で通り過ぎていった。手元のスマホの画面で目的地までの動線や距離を確認しながら、自分の三メートルほど前を正しいフォームで歩いている白髪が多くなってきた小説家のあとを追うように進んでいた。 ミミズは確か「目見えず」からメメズになり、それが転じてミミズになったのではなかったと遠矢は思い出していた。「目見えず」というのは昔の人にはそう思えただけで、実際には微小な視細胞があって光を感知している。つまり、ミミズは光の方へ向かって進むことができる生き物だ。また、骨格がなくても移動する際には体が伸縮し、体節ごとにある剛毛がひっかかるようにして進んでいくことができる。ミミズの種類の多くは雌雄同体であるので、二頭の成体がいれば繁殖が可能であり、交接によって互いに精子を交換する・・・・・・・・・・

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