『沢村忠に真空を飛ばせた男/昭和のプロモーター・野口修評伝』外伝 小説「ジャンボ鶴田が黒パンツに変えた日」(7)

煙が濛々と立ち込めている。「じゅう」と美味しそうな音と、芳ばしい匂いを漂わせながら、目の前の肉が次々と焼かれていく。 佐藤昭雄はトングを手際よく使いこなして、焼きあがった肉をひたすら小皿に置く。それを松根光雄はただひたすら食べる。小皿が空いたら、佐藤はリズムよく乗せる。カルビには甘いソースの皿。タン塩にはレモン汁の皿。食べる。乗せる。食べる。乗せる。それを二人の男がひたすら繰り返す。 松根光雄が全日本プロレスの中堅レスラーである佐藤昭雄を食事に誘うと、佐藤は何事か察して「ここならゆっくり話せます」と千駄ヶ谷寄りのキラー通り近くの高級焼肉店を指定した。この焼肉店はもとは百田家御用達で、力道山の未亡人と馬場との会合で幾度か使われている。その会合に佐藤も帯同したことがあった。 百田家の執事の焼く肉を喉奥に放り込むと、若い佐藤は驚嘆した。跳び上がるほど美味いのだ。これまで佐藤は、数えきれないほど馬・・・・・・・・・・

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