豊田薫・編 第5回

「大学に入ったもののすぐに行かなくなってしまってね。それは、ひとつには小説が書きたい──という想いがあって、でも、じゃあ一人部屋でコツコツと何かを書き続けているかというとそんなことなくて、いつだって街をうろついていた」 これは1985年、僕が初めて豊田薫にインタビューした際、彼が語った言葉だ。それはこんなふうに続く。「けれど街を歩いていると果てしなく疲れてしまうんだ。だから映画館の暗闇に逃げ込んでいた。するとそこには昼間っから俺と同じような奴らがいるんだよね。若くて無力で何もすることがないような連中。そういう奴らと一緒に暗闇に隠れるようにしてシートに沈み込んでいると、心の底からホッとした──」 今回は豊田薫の最高傑作、と僕は思っている、いや、最も好きな作品と言った方が正しいかもしれない。『生きながら欲望に葬られ〜山口美樹』を紹介したい。それは僕自身もまた、冒頭に挙げた豊田と同様な想いを抱い・・・・・・・・・・

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