死ぬ前に翔べ

萩原正人

第56回 食道静脈瘤破裂の裏で ─99年の解散危機─

昔、芸人をしていた。コンビ名をキリングセンスといった。解散したのは2006年だが、もしかしたら、1999年の3月末に、私は芸人を辞めていたかも知れない。度重なる体調不良で田舎に帰ろうと考えていた。そのことを相方のシャブさんに伝えるため、3月31日の午後、新宿の喫茶店で話し合うことを決めた。この頃、自分の帰郷について妹にも相談したことがあった。「オレ、お笑いやめて足利の実家へ戻ろうと思うんだ」と。そのとき、妹は突然泣き出してしまい、ただ一言、「……うん」と、頷いた。涙の理由を後日聞いたことがある。「普段そんな弱音なんか言わないのに、あたしがもし『足利へ帰ってくれば』なんて言えば、『ふざけんな』って怒るのに、そんなことを自分から言い出すなんて、よっぽど体調が悪いんだなって。そしたら、お兄ちゃんは本当に、死んじゃうんだと思って……」たしかに・・・・・・・・・・

続きをお読みいただくには「会員登録」と「購読申込」が必要です。

毎月500円(税込)で読み放題+電子書籍版でまとめて読める

読み放題+電子書籍で購読

1記事100円(税込)で気になる記事だけ購読記事を単品で購入する

サービスの概要を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。
購入した記事は購読一覧で確認できます。