2021年6月29日号

澤田隆治さんが去る五月十六日に亡くなられた。享年八十八、天寿を全うしたというべきところおかしな物言いになるのだが、訃報を聞いて真っ先に思ったのは、まだまだこれからの方であったのに、ということであった。晩年の澤田さんは自らが築き上げた大衆演芸界についての記録を文字で残すことに意欲的であったからだ。その情熱はまだ燃え尽きていなかったはずである。 澤田さんと直接お目にかかったことは一度しかない。二〇一九年の暮れに催された新作落語の会に、三遊亭圓丈さんを訪ねて楽屋に見えられた。そのときたまたま会である役割を振られて楽屋にいたため、お会いする光栄に浴したのである。圓丈さんに挨拶された澤田さんは、古今亭志ん朝の落語について、番組を作った者ではないとなかなか気づかないある観点から話をして、楽屋を去っていった。戦前の生まれにしては身長が高く、杖は使っていたものの矍鑠とした立ち居振る舞いであったことを記憶し・・・・・・・・・・

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