第三三回 宅八郎事件 その一
前回、国際サッカー連盟(FIFA)会長だったジョアン・アベランジェが、ぼくの所属していた「週刊ポスト」を、2002年ワールドカップ招致の「駒」として使ったという話を書いた。 週刊誌にそうした力があったことは、二〇二二年の今となっては現実味が乏しい、かもしれない。 Windows95以前、インターネットが普及するまでは、新聞やテレビよりも小回りが効き、〝庶民〟の劣情に寄り添う週刊誌はメディアの中心にいた。ある週刊誌にスクープ記事を打てば、テレビが後追いし、別の週刊誌が対抗する記事が出す、という具合だ。そんな時代を語る上で、忘れられがちではあるが、ぼくたち当事者にとっては外せない事件がある。 時計の針をぼくがブラジル出張に行く前、94年秋に戻す。 週刊ポスト編集部は、ある男とのトラブルを抱えていた。オタク評論家として売り出していた宅八郎氏である。 きっかけは、92年4月発売の週刊ポスト〈宅八郎・・・・・・・・・・
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