第二十二回 ブラジルの地を初めて踏む

 一九九四年十月、ぼくは成田空港で真新しいリモワのスーツケースを転がしていた。 ぼくの働いていた小学館では最初の国外出張前に支度金が出た。そのお金を持って、靖国通り沿いにある鞄専門店「レオマカラズヤ」に行った。ぼくは時間があるときには、編集部のある神保町の本屋を回っていた。その散歩の途中でしばしば、レオマカラズヤに立ち寄り、地下に置かれていたリモワを眺めていた。にぶく銀色に光るリモワは大人の持ち物という風情だった。国外出張に出るときには手に入れようと決めていたのだ。 勝新太郎さんの息子である、俳優の鴈龍太郎こと雄大さんは、「凄いよ、ジーコに会いに行くんだって」と勝さんに言った。そして「ジーコって、サッカーの神様って呼ばれているんだ」と付け加えた。 すると勝さんは「日本では俺、ブラジルで神様のジーコさんに話を聞くのかぃ。面白いねぇ」と笑った。 勝さんは(賭博を含めて)野球が好きだったが、サッ・・・・・・・・・・

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