館長時代のしくじり2

師匠との別れが近づいてきていることは、薄々気が付き始めました。「弟子の面会は一切禁止」という一門の申し送り事項がその思いをより一層強くさせました。ただ自分の人生に強烈な思い出を刻み続ける人でもあり、また出会った人すべてに影響を与えるような芸を持つ人です。「このまんまフェードアウトのような形でお別れにはならないだろう」という、今から考えると甘えに過ぎないのですが、そんな根拠のない信念がどこかにありました。いや、そう思っているのは自分だけではなかったはずです。一門の月例の寄席の楽屋などでは、師匠が三十代前半の時に弟子入りしたような兄弟子たちにもそんな空気感が漂っていました。曰く「またきっと会えるよ」と。「体調が芳しくないところを見せたくないっていう芸人魂だよね」みたいな軽口は、言い合うことでその不安を分散させる薬でもありました。入門20年にして、公的機関の長という立場になったことは、師匠から長・・・・・・・・・・

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