We are 宇宙兄弟

We are 宇宙兄弟 Vol.1 (講談社 Mook)
『We are 宇宙兄弟 Vol.1 (講談社 Mook)』
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 講談社の漫画雑誌『モーニング』で連載中の『宇宙兄弟』が1月21日、小学館漫画賞を一般向け部門で受賞しました。同作はこれまでにも、全国書店の漫画担当者が選ぶ「マンガ大賞」で2009年と2010年に連続で2位に輝いており、ここ数年の漫画界で最も多くの注目を集めた作品のひとつと言えます。

 昨年末、そんな『宇宙兄弟』から初めてのスピンオフムックが発売されました。『We are 宇宙兄弟』というこのムック本のキャッチコピーは「宇宙とヒトの素敵な関係マガジン」。宇宙にまつわる様々なコンテンツが収められたこのムックのなかで、今回は『宇宙兄弟』の誕生秘話を紹介しましょう。

 『宇宙兄弟』には、実在するJAXA(宇宙航空研究開発機構)の理事長として「茄子田シゲオ」というキャラクターが登場します。おかっぱ頭と口ひげが特徴的なこの人物。実は、慶応大学准教授の向井万起男氏をモデルにしています。

 向井氏は、妻である日本人女性初の宇宙飛行士・向井千秋氏とのエピソードを綴ったエッセイ『君について行こう―女房は宇宙を目指した』を1995年に出版し、一躍話題になりました。それから数年後、このエッセイに感銘を受けた漫画家の小山宙哉氏(『宇宙兄弟』の作者)は、「宇宙飛行士を扱った漫画を描こう」と思い、向井氏に助言を求めました。その申し出に感動した向井氏は、次のようにアドバイスしたそうです。

 「宇宙飛行士だって人間なんだからさ、色んな宇宙飛行士を登場させてイイんだよ。たとえば、性格の悪い宇宙飛行士だってありだ」

 小山氏が描く『宇宙兄弟』が高い評価を得たのは、ストーリーの面白さもさることながら、各キャラクターたちがとても人間臭く、魅力的に描かれているため、とよく言われます。宇宙飛行士といえば、ある種の優等生的なイメージがつきものですが、『宇宙兄弟』に登場する宇宙飛行士(とその候補生たち)には一人として同じような人物はいません。「色んな人を登場させたってイイ」という向井氏のアドバイスが、小山氏にそう描かせたのです。

 ちなみに、「茄子田シゲオ」というキャラクターは、かなり向井氏本人そっくりだとか。もしかしたら、小山氏なりの向井氏に対する敬意の表れなのかもしれませんね。

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