連載
続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!

第19回 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』アダム・ドライバー インタビュー!

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』カイロ・レン役のアダム・ドライバー氏

もはや全人類待望と言っていいスペース・オペラの金字塔、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』。ストーリーもキャラクターも新たな局面を迎えるはずの今作は、すでに鑑賞したファンが惜しみない激賞を贈り、<『スター・ウォーズ』史上最高傑作!>との呼び声しか聞こえてこないほど! そこで今回映画公開前に来日を果たした、カイロ・レン役のアダム・ドライバーにインタビュー! 寡黙でクールなアダムが、最新作について語ったぞ!


――二年ほど前にキャスリーン・ケネディさんが最後のジェダイではカイロ・レンのキャラクターが広がるとほのめかしていましたが、今回の彼はどういう感じなのでしょう?
 
その質問にストレートには答えられないけれど、ただ願わくば、僕が演じているキャラクターが、深みがある立体的な存在になっていればいいとは思う。それはすべて、脚本・監督のライアン・ジョンソンのパワーの証だけれど。いろいろな物事が意図を持って展開していくなか、カイロ・レンのことも理解しやすくなっていると思うよ。


――カイロ・レンとしてSWに二度、関わっているわけですが、俳優としてのキャリアには、どのような影響がありますか?
 
フォースの覚醒以前は、これほどの大規模な作品に出たことがなかったので、確かに影響はあったことはあったと思う。ただ、これだけの作品に出たにも関わらずJ.J.エイブラムス監督、ライアン・ジョンソン監督の手腕で、まるでインディーズの作品に出ているような感覚を味わったよ。スケールが大きくても大事なところは失わずに進み、つまり正しい方法はないということを知ったかな。それが影響だろう。


――特にライアン・ジョンソン監督は作家性が濃いので、インディーズ魂みたいなものは消えなそうですね(笑)。
 
インディーズでは規模が小さいので段取りも少なく撮影のペースも早いけれど、大規模な作品はマラソンのように持久力が求められ、自分でペースを把握しなければならない。それはどちらがいいという話ではないが、これで答えになっていればいいけれど(笑)。

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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』より


――ところで、香港、上海、フロリダ、カリフォルニアなど、世界のディズニー・パークスではカイロ・レンが登場していて、ショーものではダース・ベイダーと一緒に出ることもあり、大人気ですよね。この短期間で、そこまで成長したカイロ・レンというキャラクターについて、演じているご本人はどう思っているのでしょうか?
 
それは、いいことだと思う。逆を言うと、悪口を言われるよりはいいよね。自分としては、そういうことを考えていないし、演じている時に気にしてもいないけれど、願わくば役柄としての機能をはたしていて、理解が得られていればいいなと思う。僕のキャラクターについて、理解があればとは思う。普段、その結果がどうなっていくかについては、僕自身は考えてはいなくてね。ただ、子どもたちの反響を考えた時に、不評であるよりは人気があるほうがよっぽどいいかな(笑)。


――記憶に新しい『沈黙 -サイレンス-』では20キロ以上減量するなど強烈な下準備もされていますが、今回はどういう準備を経て、役柄に臨みましたか?
 
肉体的な準備は重要だと思っていて、たとえば人が部屋に入って来ると、その人が口を開く前に風貌や立ち居振る舞いで、ある程度の判断をしてしまうよね。瞬時にその人がどういう人でどういう意見を持っているかなどを、パッと知ってしまうものだ。『沈黙 -サイレンス-』では、自分が役柄として伝えなければいけない彼の過去などを2時間で伝えるためには、肉体的な準備は重要だった。


――近作の『ローガン・ラッキー』でも思いましたが、目で語る表情の演技表現が素晴らしいと思いました。
 
今回の映画でも何を語るか? ということはあったけれど、つねに戦争に状態なので、彼は常にストレスを感じているわけだ。だから、その重み、ライトセーバーを持って戦っている状態なので、その重さというものを細かく考える必要もあった。それと物語上の喪失感や後悔があるかどうか、そういうことを考え、自分に問いかけをしながら準備をしたけれど、肉体的なベースがあるわけなので、そこを軸に彼を演じていたよ。

(取材・文・写真/鴇田崇)

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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
12月15日(金)公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C) 2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

<STORY>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のその後を描く、誰も観たことのない衝撃の「スター・ウォーズ」。ついにフォースを覚醒させたレイと、ダース・ベイダーを継ごうとするカイロ・レン。伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの出現は何をもたらすのか?そして、"光"と"闇"の間で揺れ動く二人を待ち受ける"衝撃の運命"とは?

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鴇田崇(ときた・たかし)

1974年生。国内最大級のアクセスを誇る総合映画情報サイト「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在はフリー。年間延べ250人ほどの来日ゲスト、俳優、監督への取材を行い、雑談のような語り口で相手のホンネを引き出すスタイルは、一部の関係者に定評がある。史上もっともアガッたインタビューは、あのM・ナイト・シャマラン監督に「キミの体からは気が出ている!」とホメられたこと。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。

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