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杉山すぴ豊の、アメキャラ映画パラダイス

第7回 X-MEN映画の未来を妄想する! 今年は、待望の『ウルヴァリン:SAMURAI』公開!

映画『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年9月全国公開予定)より
映画『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年9月全国公開予定)より

今年もよろしくお願いいたします!

さてスパイダーマン、バットマン、アベンジャーズがいっきに押しよせた2012年でした。12年のアメコミ映画事情について、僕なりの総括が ぴあさんを通じて、いくつかのサイトに配信されています。よろしかったら是非、ご覧くださいませ。

そして、2013年も多くのアメコミ・ヒーロー映画の話題作が公開を控えています。
あ、そうそう 2月8日に先陣をきって公開される『ゴーストライダー2』の公式サイトの「しゃべるチラシ」というコーナーに登場しました。
こちらぜひご覧ください!

さて13年のアメコミ・ヒーロー映画話題作! 今日は、その中の1つ、日本では9月公開予定の『ウルヴァリン:SAMURAI』をご紹介いたします。

ウルヴァリン、、ご存知、X-MENを代表するキャラであり、演じているのが日本でもファンの多いヒュー・ジャックマン!

今回は、原作コミックの中でも人気の、ウルヴァリンが日本に来るエピソードが映画化され、真田広之氏も出演します。
実は、昨年夏、東京の増上寺・秋葉原、広島などで日本ロケが行われ、ヒュー・ジャックマンの目撃情報が、日本のツィッターでガンガンあがり、ネットでも話題になりました。
ウルヴァリンと日本については、いずれまた詳しくお話したいと思いますが、今日は、X-MEN映画のこれからについて、お話したいと思います。

まずX-MENは、スパイダーマンやアベンジャーズと同じ、アメコミ界の大手マーベルの代表的な作品です。超人ヒーロー物ではありますが、登場人物たちが、特異な遺伝子を持つ突然変異体=新人類(ミュータント)であるがゆえに、いまの人類(=つまり僕らです)から嫌われる、他のヒーローたちからも、ちょっと距離をおかれた存在である、というドラマ性が支持をあつめています。

日本では、90年代にアニメ・シリーズが放送されたり、カプコンさんからゲームが出たり、翻訳もいくつかあったので、アメコミの中では、比較的知名度があったのですが、その人気に、さらに拍車をかけたのが、2000年から始まる映画シリーズの成功でした。00年の『X-メン(日本では、この1作目のみ"メン"とカタカナ表記)』、03年の『X-MEN2:進化の始まり(MAZDAさんのRX-8が、X-MEN CARとして登場します!)』、06年『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』の3作(以下<三部作>と呼称)が中核をなしています。

さて、マーベルは、このX-MENの映画化の権利を20世紀フォックスにわたしており、すごく大ざっぱにいうと、つまりマーベル自身が、かってにX-MENの映画を作ることができません。アイアンマンやアベンジャーズは、マーベル自身が映画化を手がけていて、ある意味自由にできますが、X-MENについは、そうはいかない。同じようにスパイダーマンの映画化権もソニーピクチャーズに渡してあります。
ですから、マーベル原作の映画は、
●マーベル・ディズニーによる"アイアンマン""アベンジャーズ"のライン
●ソニーピクチャーズによる"スパイダーマン"のライン
●20世紀フォックスによる"X-MEN"のライン
が存在するわけです。

さて20世紀フォックスさんにとっても、X-MENはドル箱シリーズ(フランチャイズ)ですから、大事にしたい。
なので、<三部作>で一旦完結したこのシリーズを「リブート」&「スピンオフ」という方法で、継続させています。

「スピンオフ」とは、メインの物語の中の、あるキャラクターだけとりだして、独立した作品を作ること、、例えば『踊る大捜査線』に対して『交渉人 真下正義』みたいな映画です。
「リブート」とは、再起動という意味で、転じてスタッフ、キャスト、設定を一新して、またイチから物語を語りなおすことです。最近では、過去のスパイダーマンを一新した『アメイジング・スパイダーマン』が、その代表例です。

まずX-MENの中でも、一番の人気キャラ ウルヴァリンを主人公にしたスピンオフが作られました。それが09年の『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』。これはウルヴァリンが、まだX-MENと出会う前の話という設定。

そしてキャストを一新し、物語をいっきに<三部作>より前の時代にもどして、X-MEN創設秘話を描くというリブート企画『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』が11年に製作されます。

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』も『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』も、<三部作>の前章という形をとっているので、<三部作>にうまくつながるように工夫されているのですが、とはいえ独立した作品としても面白く仕上げなきゃならないので、そっちでのストーリー展開を優先するあまり、多少つじつまがあわない部分もいくつかあります。

さて『ウルヴァリン:SAMURAI』はヒュー・ジャックマンによれば、<三部作>の最終作『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』のあとにウルヴァリンがどうなったか、を描いた作品でもあるそうです。
そこでファンの間では『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』で、ウルヴァリンと悲劇の展開になった"彼女"がなんらかの形で出てくるのではないか、と憶測を読んでいます。

また14年には、
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』の続編
『X-MEN:デイズ オブ フューチャーパスト(原題) 』の公開が予定されています。

なので、
物語の時系列的には、
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』
『X-MEN:デイズ オブ フューチャーパスト(原題) 』

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』

<三部作>
『X-メン』
『X-MEN2:進化の始まり』
『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』

『ウルヴァリン:SAMURAI』
ということになります。

と、ここで非常に興味深い展開が。
『X-MEN:デイズ オブ フューチャーパスト(原題) 』は、タイムトラベルものらしい。(同名の原作コミックのエピソードもタイムトラベルがテーマ)
なので<三部作>の主要キャストが(ヒュー・ジャックマン扮するウルヴァリンを含め)新キャストと共演するシーンもあるそうです。

僕は、ひょっとすると、今度の『X-MEN:デイズ オブ フューチャーパスト(原題) 』は映画X-MENの世界の中に、タイムトラベルを絡ませることによって、パラレルワールド=並行宇宙の概念を入れようとしているのではないかと思うのです。
つまりひとつのユニバースの中に、ちょっとづつ違った「現実」が同時並行で存在する、、、ということです。

これはJJエイブラムス版『スター・トレック』が、この手法を使ってTVシリーズの『スター・トレック』の世界観との"共存"と"すみわけ"を見事やってのけたように。
またターミネーター・シリーズも、この概念があるから「過去」を変えられるわけですよね。

そうこの方法を使えば、観ている方としても、かっての<三部作>と、新しいX-MEN映画の間で生じる"多少、つじつまがわない部分"も、納得することが出来るようになる(ハズ)

そして、僕は 映画の製作陣が狙っているのは、並行宇宙設定によって20世紀フォックスが作る映画X-MENの世界とディズニー・マーベルが仕掛ける『アベンジャーズ』の世界観(=マーベル・シネマティック・ユニバースとも言われます)を融合させる、ことではないかと。

くりかえしになりますが、パラレルワールド=並行宇宙が「あり」になれば、"共存"と"すみわけ"が可能になります。

「ビジネス的」に、ディズニー・マーベルと20世紀フォックスが合意できたとしても、X-MEN映画と一連のアベンジャーズ映画の世界観は、いまのままでは統合できない。
でも「アベンジャーズ映画の世界にいる=<三部作>のX-MENから見ればパラレル・ワールドのX-MEN」なら、アベンジャーズへの参加は可能なわけですから。

実際問題、コミックではスパイダーマンとウルヴァリンは、アベンジャーズのメンバーだったし、また最近は旧アベンジャーズと旧X-MENメンバーによる、超人&ミュータントの混合編成による、Uncanny Avengersなるシリーズも始まっているのです。

これからのX-MEN映画ユニバースからも目が離せません! 
SNIKT!
(ウルヴァリンの拳から爪が飛び出るときの擬音です)


映画『ウルヴァリン:SAMURAI』は2013年9月全国公開予定
公式サイト:http://www.foxmovies.jp/wolverine-samurai/
(c)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved

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杉山すぴ豊

アメキャラ系ライターの肩書きで、アメコミ・ヒーロー映画やSF、モンスター映画についての伝道活動を、雑誌、TV、WEB等で展開。 映画「アメイジング・スパイダーマン」「アベンジャーズ」の劇場パンフレットにも寄稿しています。映画「サラリーマンNEO劇場版(笑)」にCMクリエーター役でなぜか出演。 AOL等でもコラム展開中。
また人気と評判の(笑)ブログはこちら http://supi.wablog.com/

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