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人ごとではいられない! 次に巻き込まれるのはもしかしてあなたかも!? 『まともな男』

『まともな男』 11月18日(土)より新宿K’s cinemaほか全国ロードショー

 2016年スイス映画賞で最優秀脚本賞を受賞した鬼才レビンスキー監督の作品が初めて日本に上陸する。
 どこにでもいるような平凡な男が平凡な幸せを願って企画した家族旅行。特別なことをなにひとつするわけではないのに主人公トーマスは「ある一つの出来事」をきっかけに一つの嘘をつきその嘘からじわじわと負の連鎖にはまっていく。

 主人公のつく嘘は誰もがこの状況に陥ったらついてしまうかもしれないと思うような日常に転がっているようなごく自然な流れでついてしまったもの。
 この作品の面白いところはもし自分が主人公の立場だったらどうしたであろうか? どこからやり直したらうまくいくだろう?と鑑賞後は振り返ることになるところだろう。

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 ロールプレイングゲームのように本当に小さな小さな選択肢が積み重なって出来上がったような作品。どちらの選択肢が正しかったのか答えはないし、もしも間違っていたとしても一つ一つは本当に誤差範囲にも思える。どこがなにから間違っていたのか見る人によって違うのかもしれない。

 舞台となるスイスの雪山アルプスが静かに迫り来るこの出来事を包み込む壮大さが主人公のどこにでもあるような平凡さと対比になっているようにも感じられるところがまた作品に深みを与えている。
 脚本賞を受賞したのもうなずけるようなもやもやした気持ちを残すラストを楽しんで欲しい。

(文/杉本結)

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『まともな男』
11月18日(土)より新宿K's cinemaほか全国ロードショー

監督・脚本:ミヒャ・レビンスキー
出演:デーヴィト・シュトリーゾフ、マレン・エッゲルト、アニーナ・ヴァルト、ロッテ・ベッカーほか
配給:カルチュアルライフ

原題:Nichts Passiert
2015/スイス/92分
公式サイト:http://www.culturallife.jp/matomonaotoko
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