もやもやレビュー

慈善活動の意味がわかった気がする。『100歳の少年と12通の手紙』

100歳の少年と12通の手紙(字幕版)
『100歳の少年と12通の手紙(字幕版)』
商品を購入する
>> Amazon.co.jp

 「慈善活動」といえば、UNHCRの親善大使として活動しているアンジェリーナ・ジョリーや、トイレ・ストライキが話題になったマッド・デイモンなどのイメージが強く、「裕福な人じゃないとできない」と思ってしまいがちですが、そもそも「慈善活動」ってなんなんだろう? お金がないとできないの? など疑問が頭の中に定着。今回は、そんな疑問を一掃してくれた作品をご紹介したいと思います。それは『100歳の少年と12通の手紙』。主人公は10歳で白血病と闘う少年で、本作のキーパーソンは口が悪く気が強い、そして「慈善活動が嫌い」と公言している女性なんです。

 好奇心旺盛な少年オスカーは、白血病のため小児病棟に入院中。いたずらをしたり人を笑かすのが好きだけど、自分が重度の病気のため、周囲は気を使って怒ろうとも笑おうともしない。そんな大人の行動に疑問を持っていました。ある日、オスカーは自分の両親が病棟を訪れていることを知り、こっそり探しに行きます。そこでオスカーの治療がうまくいかず、もう先が長くないことを知らされ落胆している両親を目撃。病気を告げることもオスカーに会うことも拒否した両親に、彼はショックを受けます。そのことがきっかけで心を閉ざし、誰とも口を聞こうとしませんでした。そんなある日、彼は宅配ピザのオーナー、ローズと廊下でぶつかります。ローズの使う汚い言葉や迫力に圧倒されたオスカーは彼女を気に入ります。ローズにだけは口をきくことを知った院長は、オスカーと毎日話をしてほしいと彼女に依頼。病院も慈善も嫌いなローズは拒否しますが、毎日ピザを注文することを条件に、依頼を受けることに。

 ローズはオスカーの素朴な疑問にユニークに回答します。自分は元プロレスラーだと言い、オスカーに昔話を伝え、そしてオスカーはその話を基に空想を楽しみます。また、オスカーが自身の余命が長くないことを知ると、ローズはすぐさま1日を10年として考えることを提案。こうしてオスカーは、人生を楽しもうと少し前を向き始めるのです。

 そんな彼女からとっさに出るユニークな回答や提案は、真似できそうにありませんが、話を聞いてあげる、時間を少しでも費やすということは真似できそう。お金ではなく、こうやって自分の少しの時間を費やすことも「慈善活動」に含まれるのだと実感しました。お金では買えない、かけがえのない絆みたいなものが、オスカーとローズの間に徐々に生まれていくのもわかります。そしてローズ自身も、オスカーと過ごすことで「慈善なんてもってのほか」という考えが変わっていくのです。息子からも「あれ、慈善嫌いって言ってたよね?」と言われるほど。

 慈善活動って身近じゃないイメージがありますが、本作を観ればきっと少しは身近に感じられるハズ。悲しくも美しい本作はハンカチ必須です!

(文/トキエス)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム

  • 編集長:酒井若菜
    marble
    女優の酒井若菜が編集長となり、女性たちだけで新たに創刊するWEBマガジン『marble』。
  • 著者:ダンカン
    ダンカンの『人生は落書き・・・さ』
    たけし軍団のダンカンさんしか語れないエピソードからご自身の身辺日記まで、徒然なるままお届けさせていただきます!
  • 著者:髭男爵 山田ルイ53世
    髭男爵 山田ルイ53世のメールマガジン「貴族のメルマガ」
    芸人・髭男爵が毎週1回にお届けするメールマガジン。メールマガジンでありながら、テキストのみならず、髭男爵の音声コンテンツなどをお届けしてまいります。
  • 著者:かもめんたる
    週刊かもめんたるワールド
    メールマガジンでありながら、もはやテキストにこだわらず映像と音声で彼らのコント、コラム、撮り下ろし映像をお届けしてまいります。
  • 著者:エレキコミック
    エレキコミックの「エレマガ。」
    完全スマホ対応の「観る・聴く・読む」全部入りハイブリッドメールマガジン。ここだけの彼らの秘蔵映像、コラム、トークなどなど。
  • 編集長/著者:水道橋博士
    水道橋博士のメルマ旬報
    水道橋博士が「編集長」に就任して、過去、メルマガ史上に無い規模と内容と熱量で送るメールマガジン。
  • 著者:プチ鹿島
    プチ鹿島の思わず書いてしまいました!!
    「時事芸人」プチ鹿島が圧倒的なキレとコクで「メルマガ芸人」も目指す毎週更新のコラム集。
  • 著者:マキタスポーツ
    マキタスポーツの週刊自分自身
    メジャーとマイナーの境界にいる僕は今、自らを実験台としてリアリティショーを生きる。他じゃ絶対書かないとこまで、踏み込む。マジで。
  • かもめんたる
    かもめんたるの映像コンテンツ
    かもめんたるの映像をネットでまるっと楽しむことができる、動画コーナー! 閲覧有効期限なし1500円(税込)と「週刊かもめんたるワールド」定期購読者価格700円(税込)の2つからお選びいただけます。
  • エレキコミック
    エレキコミックの映像コンテンツ
    エレキコミックの映像をネットでまるっと楽しむことができる、動画コーナー! 閲覧有効期間が1ヶ月間(31日間)の500円コースと期限なしの1000円コースの2つからお選びいただけます。
  • 著者:萩原智子
    萩原智子『魂のファイトめし』
    元水泳メダリストの萩原智子さんが毎回いろんな一流アスリートと"食事"をテーマに対談していくメールマガジン。
  • » 有料メルマガ一覧