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エセ右翼や左翼が跋扈する時代に『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』

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 ネトウヨやら左翼もどきやらがSNSで跋扈する時代なので、今更三島由紀夫の自決についての映画を語ることに違和感があるものの、こういうゴミみたいな連中が偉そうな言説を垂れ流す時代なので敢えて本作を取り上げることにしようと思う。

 あらすじは、ほぼ史実なので三島由紀夫が盾の会を設立してから市ヶ谷の駐屯地で自決するまでを描いている。本作と史実は異なる部分があるものの、あくまで映画であるから細かい突っ込みは割愛する。

 周知の事実だが、三島が盾の会を設立したのは学生運動が華やかなりし頃。一部の学生たちが本気で社会を変革しようとしていた熱気が伝わってくる(一部ではモテのためにファッションでやっていた輩もいたようだが)。政治への無関心が社会を覆う現在に視聴すると「正気か?」と思ってしまうが、そういう時代があったという記録として成り立っている。

 学生運動が社会的支持を受けた時代に設立した盾の会も、当時は保守論壇からさえも「玩具の兵隊」と揶揄されていた。が、作中では三島役の井浦新が異様に熱い。三島に付き従う学生たちも今では考えられないくらい政治について真面目に考え、実行を通じて改革しようと懊悩している。今日のネット番長たちとは大違いである。

 若松孝二監督作品のためか、いわゆる右翼的な思想部分は大分割愛されているものの、作中の三島や学生運動家の言動から言外に「どうにかしてこの国を良くしたい」という思いが溢れている。

 結局、三島の決起への思いは伝わらず自決してしまうのだが、本作ではクーデターが失敗したゆえの自死ではなく、将来の日本の礎となるべく捨て石となったと読める。三島の自決について様々な説が入り乱れているが、映画としては上記の説を採用した方がカタルシスを得られる。

 もっとも、彼の自決が礎になったかとこの社会状況を眺めれば、無駄だったように思わなくもない。ただ、こういうどうしようもない時代だからこそ、この映画は再評価されるべきではないかと思う。

 これだけ書いておきながら、作品としてのクオリティは決して高くないけれど......。

(文/畑中雄也)

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