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心温まりたい人は必見です『ハッピーエンドが書けるまで』

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 『きっと星のせいじゃない』のジョシュ・ブーン監督のデビュー作。作家の父・ビル(グレッグ・キニア)は3年前に離婚した元妻エリカ(ジェニファー・コネリー)が忘れられず、エリカと恋人が暮らす家を覗く始末。一方、彼の娘・サマンサ(リリー・コリンズ)は両親の浮気と離婚を見て以来、恋愛や結婚に否定的。一夜限りの関係ばかりです。そして息子のラスティ(ナット・ウルフ)は同級生に密かに片想いしているものの、奥手ゆえに、想いを打ち明けるどころか日記や詩にしたためる毎日。そんな父・娘・息子。三者三様の恋愛模様と共に、家族の絆も描かれます。

 父は離婚していたり、それがトラウマとなり遊びの恋ばかりの娘に、思春期の息子。しかも母は浮気相手と同棲しているとか、境遇だけ羅列すると荒れていそうですよね。

 でも、この一家。相手を思いやるコミュニケーションが秀逸です。

 父が、恋愛経験のない息子の恋を「経験が大事だからもっと外に出て遊べ」と背中を押してあげ、深夜に息子がガールフレンドを家に連れて来た時にまで世話を焼いたり。一方の娘は、戻る見込みのない元妻を待ち続ける父をいつも心配したり、奥手の弟に恋愛指南をしてあげたり。家を出て行った元妻も、娘に無視され続けながらも、心配して遠くから見守り続けます。

 少し前に内閣府が15歳から29歳までの男女6000人を対象にした調査で、6割以上が「インターネット空間」を自分の居場所と感じていると発表されました。家庭や学校や職場を上回る結果に、びっくりした人も多いのではないでしょうか。

 他人との関わりが少なくなりがちな現代社会ですが、せめて家族や近しい人とは心通った関係でありたい。そう思わせてくれる本作です。

(文/森山梓)

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