もやもやレビュー

あの子もきっと気に入る個性派ラブコメ『デリカテッセン』

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上野の国立博物館で開催されている"深海"をテーマにした展覧会で、あるカップルが痴話喧嘩していたという。「なんでこんなところに連れてくるのよ!」、と彼女は激怒する。入場制限もあって、ヒールを履いた足は限界だったのか。ポップな色使いの深海魚をポスターか何かで見て、プラネタリウムみたいにロマンティックな場所かもと思ったのかもしれない。非常に難しい問題だ。彼は彼なりに考えたのだろうが、残念な結末である。かくいう私も、かつてデートにロメロ作品をチョイスしたことがあった。その時は相手が面白がってくれた(と思いたい)ので良かったが、後々、ちょっとやりすぎたかな? と後悔したのだった。

個性がピリリと効いていて、男女ともに楽しく見られる一本としてオススメしたいのが『デリカテッセン』。突然何を言い出すのかと不快に思うかもしれないが、カニバリズムをこんなにもキュートに仕上げた映画はきっと他にはないと思う。ジャン=ピエール・ジュネ監督が『アメリ』より約10年前に制作した作品で、すでにアメリを彷彿させるカメラワークや世界観を垣間見られる。

舞台は近未来のパリ郊外にあるデリカッセン(精肉店)。いかにも怖そうな顔立ちの店主で、人肉を売りさばいて売っている。そこで新入りとして働くのは、売れない芸人の過去を持つルイゾン。彼と恋に落ちた店主の娘は、ルイゾンも売られてしまうかもと危惧し父の手から守ろうと奮闘する。ただし、エロもグロもなし。血は出ない。信じられないくらい、ほのぼのしているのだ。笑いどころも多く、見終わった後は心が温まる。カテゴライズするのに難しい映画だが、ぜひデートムービーの候補に加えてもらえたらと思う。

(文/峰典子)

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