もやもやレビュー

サラリーマンとして、人として、大切なことのすべてがここにある。『超高速!参勤交代 リターンズ』

『超高速!参勤交代 リターンズ』は、9月10日(土)より全国ロードショー!

 江戸時代の大名は、現代のサラリーマン&下請け業とそっくりだった! そんな発見をもたらしてくれた『超高速!参勤交代』の続編がもうじき公開されます。2014年に公開された前作では、藩のある磐城国(現在の福島県いわき市)から江戸へ行く「参勤」を、通常10日かかるところわずか4日で成し遂げた湯長谷藩のメンバーたち。ほっとしたのもつかの間、今作では江戸から国元へと帰る「交代」に、行きの倍のスピードで挑む羽目に......。

 そもそも無理ゲーだった仕事を半ば奇跡的に達成したら、さらに難易度と理不尽度の高い仕事が降って湧いてくる。サラリーマンや下請け業にとって、そういったことは日常茶飯事なわけですが、一度乗り越えた無理は、もはや無理ではなく普通です。無理を乗り越えるという行為は、アナザーワールドを開き、必ず自分の血肉となってくれます。

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主演の佐々木蔵之介さんをはじめ、前作のメンバーが再び集結。

 今回の湯長谷藩の帰路の足取りも、アナザーワールドです。不眠不休で2日間、牛久からいわき(だいたい150kmぐらい)まで走りますが、途中、鈴木(知念侑李)が溺れて生死不明になったりいろいろありこそすれ、その足腰に不安を感じる瞬間はありません。ここに至っては目先は足腰のその先にあるのです。

 また、無理を乗り越えた先には、周囲との信頼関係、何よりも自信という大きな副産物がついてきます。サラリーマンとして、人として、無理できる時には無理しておこう。課題難易度もメンバー自身の力量もパワーアップした湯長谷藩をみると、社畜街道をもっともっと突っ走ってやりたくなってきます。未来はきっと、無理の先にある!
(文/根本美保子)

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『超高速!参勤交代 リターンズ』
9月10日(土)より全国ロードショー!

監督:本木克英
出演:佐々木蔵之介、深田恭子、伊原剛志 ほか
企画・配給:松竹

2016/日本映画/119分
公式サイト:http://www.cho-sankin.jp/
(C)「超高速!参勤交代 リターンズ」製作委員会

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