モチベーションが下がりがちな梅雨時に観て欲しい、あがる映画！　『はじまりのうた』

　じめじめして気分も憂鬱になりがちな梅雨。そこで前向きになれる作品をご紹介したいと思います。

　本作は2013年のアメリカ映画です。監督は『Once　ダブリンの街角で』でアカデミー賞を受賞したジョン・カーニー。『はじまりのうた』は2014年6月に全米5館で限定公開され、その後口コミで人気が拡がり、1300館以上まで拡大する大ヒットを記録しました。

　グレタ（キーラ・ナイトレイ）は、メジャーデビューが決まったミュージシャンの恋人デイヴ（アダム・レヴィーン※マルーン5のボーカルです）との共同楽曲が映画主題歌に抜擢され、初めてニューヨークにやってきます。これまでとは違うセレブのような生活をするも、スターとして忙しくなるデイヴとすれ違いの日々。そして、あろうことか彼の浮気が発覚します。

　そんな折、旧友であり、売れないミュージシャンのスティーヴに偶然出会います。スティーヴは傷心のグレタを放っておけず、自分が歌っている小さなバーのステージに彼女を誘います。乗り気でなかったものの、そこで一曲歌うグレタ。そしてその場所で、運命的な出会いをします。

　そのお相手は、音楽プロデューサーのダン（マーク・ラファロ）。ちょうど自身が創立したレコード会社をクビになり、その上妻とは別居中で、娘にも月一での学校へのお迎え時にしか会えないという状況。グレタ同様どん底の渦中にいたのでした。

グレタの歌声を聞いたダンは、一緒にアルバムを作らないかと持ち掛けますが、レコード会社を追い出された彼に協力の手もお金もない。そこで妙案を思いつきます。「スタジオなんかいらない。PCと編集ソフトと高性能のマイクがあればどこでも録れる。ニューヨークの喧騒も歌の伴奏にしてアルバムを作ろう」と。

　そんなダンの情熱に心動かれたグレタ。さらに、レコード会社時代のツテで集まったメンバーでゲリラ的に野外レコーディングを行います。

　好きなものへの熱意や楽しむ姿勢。それこそが、ダンやグレタの最悪だった状況を最高なものへと変化させた源。モチベーションが下がっていたり失意の中にあったりしても、叶えたい夢やこうありたいという希望に立ち向かわせてくれるヒントを教えてくれる映画です。

（文／森山梓）