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イギリス人の、パブへの異常な愛情......『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う』

映画『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う』は、4月12日(土)よりシネクイントほか全国ロードショー!

居酒屋で、ビールを待っている間の微妙な時間をどうにかしたいです。

イギリスのオタイケメン監督エドガー・ライトの最新作は、『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』に続く「コルネット3部作」の完結編。ちなみにコルネットというのは、イギリスで流通しているジャイアントコーンのようなアイスのことらしい。『ショーン〜』=ストロベリー味、『ホット・ファズ』=バニラ味、『ワールズ・エンド』=ミント味と、コルネットの3つのフレーバーと結びつけられているそうです。

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サイモン・ペッグ演じる主人公のゲイリー・キング。高校が絶頂期であとは落ちる一方な人生。あるあるです。

さて物語です。高校が人生の絶頂期だったアラフォーの主人公が、当時果たせなかった「1夜でパブを12軒巡る」のリベンジをしようと、昔の仲間を誘って地元の田舎町に帰る。が、何軒か目で、「この町は昔と同じように見えるけど、何かが違う(→実は町全体が何者かに侵略されつつあった!)」......ことに気づき、酔っぱらいながらも侵略者に立ち向かう!という話です。でも単にアホなだけじゃなくて、なんかちょっと考えさせられるのが3部作に共通する面白さ。

でも3つの作品を観て素直に一番感じたのは、イギリス人のパブ好き異常!ということです。どの作品もイギリスという国に対する様々な自虐ネタで彩られていますが、中でも最強かつ最もわかりやすい自虐ネタが、パブへの異常な愛と執着です。『ショーン・オブ・ザ・デッド』で主人公たちがゾンビと戦うために立て篭ったのもパブ(だってイギリス人!)。『ホット・ファズ』での巨悪との戦いも(確か)パブに始まりパブで終わっていましたが、今回はもう完全にパブ全開! パブをハシゴする話なので、だいたいずっとパブでビールを飲んでいます。

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社会から外れてる人こそが、社会を救えるのだ!

ところで、久しぶりに訪れた地元のパブが、どの店も同じように「スタバ化(チェーン化)」されてしまっていることに、主人公が不満を言うシーンが印象的です。イギリス人のシンボルともいえる重要かつ伝統的な社交場にも、画一化といういや〜な波が押し寄せているのであって、主人公たちが戦っている侵略者とは、気色の悪い画一化社会なのかもしれません。素晴らしいな!とか思いつつも、画一化されたコンビニで大量生産されたアイスを買う日常を、私たちは今日も過ごしているわけで......。

(文/根本美保子)

『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う』
4月12日(土)よりシネクイントほか全国ロードショー

原題:『The World's End』
監督:エドガー・ライト
脚本:サイモン・ペッグ、エドガー・ライト
出演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、パディ・コンシダインほか
配給:シンカ/パルコ
2013/イギリス/英語/109分

公式サイト:http://www.worldsend-movie.jp
ⓒFocus Features

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