インタビュー
映画が好きです。

Vol.16 藤竜也さん(俳優)

映画はなんでも観るよ。Huluでね

主要キャストの平均年齢は72歳! 高齢化社会を突き進む日本ならではの、そしてそんな社会を元気づけてくれる、北野武監督最新作『龍三と七人の子分たち』。同じヤクザものと思いきや、前作『アウトレイジ ビヨンド』とは180度違う本作の主人公は、組を引退し、金も先も指もない70歳の元ヤクザです。息子家族の留守中にオレオレ詐欺に引っかかったのをきっかけに、昔の仲間と再び組を作り、ニュー・ジェネレーションの半グレ集団と抗争に発展する......というストーリー。というわけで、今回、北野映画初出演となった主演の藤竜也さん(73歳)に、映画のこと、うかがいました!

──北野監督と一本撮り終えて、いかがでしたか?
「僕らのように長くやっているプロの俳優から見ても、ドキドキするようなユニークなカット割りやカメラワークが、すごく新鮮でした。彼の感覚が、楽しかったねぇ」

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藤さんは、主人公の元ヤクザ・龍三を演じます。

──はじめて台本を読んだ時のご感想は?
「落語の本を読んでるような感覚で、けっこう笑っちゃった。でも、よく読んでみると、別に笑わせるようなことを言っているわけじゃなくて、その場、その場で一生懸命に怒ったり、昔を懐かしんでいたり、まともなんだよね。それでいて作りがなんとなく笑っちゃうんだ」

──平均年齢がものすごく高い現場でしたが、撮影中に思い出に残っていることはありますか?
「焼き鳥屋のシーンがあるんだけどね。店の裏に小さいテントを張ってくれて、その中で出番を待っていたわけ。するとある人が、私はこの作品でイメチェンができると思いますか?って言うんだよ。もうね、大ジジイですよ。でも、それ聞いて俺、格好いいな、素敵だなって思ったのね。そうなんだよな、俺たちはいつもいろんなことをやって、カメレオンみたいに変わっていきたいんだな。死ぬまでそうやって、新しい役に挑んでいきたいんだな。俺もそうなんだなぁって」

──普段は、どんな映画を観ることが多いですか?
「なんでも観るよ。商売だからさ、なるべくいろんなものを観ようと思うんだ。今の日本の若い人たち......みんな俺より若いんだけども(笑)、新しい監督、新しい俳優さんたちのも観たいし、外国映画も。映画館はあまり行かないね。Huluで観てるよ。意外?(笑) もう少しいろんなものをカバーして欲しいんだけどね。北野さんのなんて一本もないし。でも、それほど時代に遅れないで新しいものも観られるよね。ドラマ? ドラマは観ない。映画だけ」

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服はすべて自前だそう。かっこよすぎ!

──最近観た作品で印象に残っているのは?
「ちょっと古いけど、『冷たい熱帯魚』。あんな嫌な映画だけどね、なんか引っかかるんだよ。これが今の新しい映画の一つなのかって、感心したね」

──『龍三と七人の子分たち』は、やっぱり友達は持っておくべきだなぁと感じさせられる映画でしたが、藤さんは友達は多い方ですか?
「そこそこいる。町内にもたくさん友達がいるよ。俳優仲間? いない。俳優仲間で定期的に会って食事っていうのは、ないよね。町内の人とか、スポーツクラブで知り合って40年の付き合いがある人もいるし。違う職業の友達が多いよね」

──友達ってどうしたらできるんでしょうか?
「なんで友達ができないんだろうね。自分の中で、自分が大きすぎるんじゃない? 自分を小さくすれば、人は小さくなってくれる。自分を肥大化すると、辛い時もあるよね。だけど、みんな、自分を大きく持ちたい。俺は、ワンノブゼムっていう考え方が好きなのよ。たくさんのうちの一人なんだっていうね。この世の中に80億という人がいて、化け物みたいな自我を一人ひとりが持ってる。負けねーぞっていうね。それがぶつかりあったらさ......。自分が小さくなれば、喧嘩することもなくなるかも知れないよ」

──映画は、オールド・ジェネレーションVSニュー・ジェネレーションという側面がありましたが、藤さんは今の若者についてどう思っていますか?
「何も感じないよ。次は彼らしかいないんだから、信頼してますよ。あなたたちの時代ですから。プレッシャーなんて感じなくていいんだ。やりたいことやっていたら、それなりに時代は変わっていくから。無理にどうこうしようなんて思わないで、目一杯若い時代を生きてくれればいい。年寄りにとやかく言われなくていいんですよ。僕らはついていくだけ。若い人に」

藤竜也さん......とにかく話も、佇まいも、素敵すぎました。ありがとうございました!

(写真/渡辺一城、文/根本美保子)


***

『龍三と七人の子分たち』
4月25日(土)公開!

監督:北野武
出演:藤竜也、近藤正臣ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画/オフィス北野
2014/日本映画/111分

公式サイト:http://www.ryuzo7.jp
©2015『龍三と七人の子分たち』製作委員会

<あらすじ>
組を引退した元ヤクザ、高橋龍三70歳。オレオレ詐欺に引っかかったのをきっかけに、かつてのヤクザ仲間と共に「一龍会」を結成。やがて元暴走族の半グレ集団との抗争に発展していく......! 北野武監督、『アウトレイジ ビヨンド』に続く約2年半ぶりの17作目。

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藤竜也(ふじ・たつや)

1941年北京生まれ。大学時代にスカウトされ、日活に入社。62年『望郷の海』でデビュー。大様渚監督『愛のコリーダ』(76年)で報知映画賞最優秀主演男優賞を受賞。以後、映画界の第一線で活躍し続けている。

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